
理学療法士の年収って、実際どれくらいなんでしょうか。働き続けたら上がっていきますか?
「理学療法士の給料は安い」という話をよく耳にしますが、実際の数字を見ると、印象とは少し違う部分もあります。
僕は整形外科クリニックで10年以上働き、基本給・手取り・ボーナスの推移を明細で確認してきました。
この記事では、厚生労働省の統計と、僕自身の10年分の給料の数字を並べて、理学療法士の年収の実態を整理します。
- 理学療法士の平均年収と、年代別・他職種との比較
- 10年間で基本給・手取りがどれくらい増えたか(実際の数字)
- 給料が上がりにくいと言われる構造的な理由
- 年収を上げるために現実的に取れる選択肢
理学療法士の平均年収は約443.6万円
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、理学療法士(PT)の平均年収は443.6万円と掲載されています(令和7年賃金構造基本統計調査)。
ただし、これは全国・全年齢の平均です。
勤務先、年齢、経験年数、役職の有無によって大きく変わるため、「自分はどれくらいが普通か」を知るには、年代別の目安も確認しておく必要があります。
年代別の目安と他職種との比較
以下は、賃金構造基本統計調査をもとに、僕が自分のnote記事で整理した数値です。
| 区分 | 平均年収の目安 |
|---|---|
| 30代前半の理学療法士 | 約420万円 |
| 30代後半の理学療法士 | 約453万円 |
| 50代(ピーク)の理学療法士 | 約543万円 |
| 看護師(全体) | 約520万円 |
| 理学療法士(全体) | 約443万円 |
30代前半から後半までの5年間で、増えるのは約30万円です。
年収のピークは50代で、そこから60代にかけては再雇用などの影響で下がる傾向があります。
同じ医療職の看護師と比べると、年収の差は約80万円あります。
看護師は夜勤手当などの各種手当が加算されやすい一方、理学療法士は日勤中心で、基本給を軸にした給与体系になりやすいことが背景にあると僕は感じています。
僕の10年間の給料|基本給は約6万円、手取りは約3万円しか増えなかった
ここからは、実際の明細をもとにした僕の数字です。
額面を平均と比べると、僕の年収は平均と同じか、少し上回る水準でした。
それでも、「給料が上がった」という実感はほとんどありませんでした。
| 1年目 | 5年目 | 10年目 | |
|---|---|---|---|
| 基本給 | 195,500円 | 219,500円 | 257,600円 |
| 手取り | 215,688円 | 229,238円 | 244,429円 |
1年目から5年目までの5年間で、基本給は24,000円の増加。
5年目から10年目までの5年間で、38,100円の増加でした。
10年間で基本給は約6万円、手取りは約3万円の増加で、年収換算するとおよそ74万円の増加です。
社会保険料や税金の負担が年々増えるため、手取りで見ると体感としての「増えた感覚」はさらに小さくなります。
同世代の他業種の友人と比べると、昇給のスピード感はまったく違いました。
ボーナスは年間約100万円
夏と冬を合わせたボーナスは、年間でおよそ100万円でした。
厚生労働省の平均賞与データと比べると、むしろ多い水準です。
ただし、このボーナスにはノルマ(1日18単位)による査定が関わっていました。
7年目に歩合制が導入された
7年目に職場で歩合制が導入されました。
患者さんを治療すればするほど収入が増える仕組みです。
実際の明細では、歩合の手当は多い月で6,800円、少ない月で800円でした。
金額の大小以上に、「患者さんのため」より「単位のため」に治療しているような感覚になり、同僚と患者さんの取り合いのような空気が生まれることもありました。
歩合制に賛成するスタッフも多く、会社として従業員に還元してくれていると感じる部分もあったため、合う・合わないは人それぞれだと思います。



歩合制の詳しい内容は、こちらの記事にまとめています。
理学療法士の歩合(インセンティブ)制が導入されました
ノルマ・残業代・ボーナス査定がセットの不安定さ
給料の話で避けて通れないのが、ノルマの存在です。
僕の職場には1日18単位というノルマがあり、次のような条件がありました。
- 18単位を超えないと、残業代がつかない
- 18単位未満だと、ボーナスの査定が下がる
- この条件が1年ごとに変わることがあった
毎日、各理学療法士が何単位こなしたかを上司がチェックし、院長や事務に報告することで給料に反映される仕組みでした。
単位を確保できるかどうかが、そのまま収入に直結するため、平均以上の額面をもらっていても、「安定して稼げている」という実感にはつながりませんでした。
理学療法士の給料が上がりにくい構造的な理由
「給料が上がらない」のは、僕の職場だけの問題ではないと考えています。
理学療法士の給料は、国が定める診療報酬制度に大きく縛られているためです。
- リハビリ1単位(20分)ごとに、決まった点数(金額)が定められている
- 1日に算定できる単位数には上限がある(実働8時間で最大24単位程度)
- この点数は、新人でもベテランでも基本的に同じ
経験を積んでも、こなせる単位数の上限が変わらない限り、病院に入ってくる収益そのものが増えない仕組みです。
会社や上司だけが悪いわけではなく、構造的な理由があると言えます。
年収を上げるために現実的に取れる選択肢
1. 転職で条件を比べる
同じ理学療法士でも、勤務先によって給与体系は大きく違います。
ただし、給料だけで選ぶと、業務量や教育体制で後悔することもあります。
求人票で確認したい項目は、こちらの記事にまとめています。
理学療法士の転職で失敗しないコツ|求人票10項目と職場見学
僕自身も7年目に転職活動をして、回復期病院から内定をもらいましたが、給料が今の職場より月5〜6万円ほど下がる条件でした。
その差を受け入れられず、転職しませんでした。
「給料が上がらないが、転職すると下がるかもしれない」という板挟みは、この職種ならではの悩みだと思います。
2. 副業で収入の柱を増やす
僕は理学療法士として給料を増やすことに限界を感じて、3年目くらいに副業を始めました。
副業で月5万円を達成できれば、収入が増えるだけでなく、精神的な自信にもなります。
始める前に知っておきたい内容は、こちらにまとめています。
理学療法士におすすめしない副業ランキング5選|理学療法士の副業はバレる?
3. 自分の市場価値を知る
今の給料が平均と比べてどうなのか、他の職場ならどれくらいの条件があるのかは、求人を見ないと分かりません。
転職するかどうかを決めていなくても、求人情報を見て、自分の市場価値を知ることから始めるのはおすすめです。
よくある質問
Q. 理学療法士の平均年収はいくらですか?
A. 厚生労働省のjob tagでは、全国平均年収として443.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査)が掲載されています。
勤務先や年齢によって差があります。
Q. 理学療法士の年収は何歳でピークになりますか?
A. 賃金構造基本統計調査をもとにした目安では、50代がピーク(約543万円)で、その後は再雇用などの影響で下がる傾向があります。
Q. 理学療法士は昇給しにくいのですか?
A. 僕の場合、10年間で基本給は約6万円の増加でした。
診療報酬制度の仕組み上、経験を積んでも収益が増えにくく、大きな昇給が起こりにくい構造があります。
まとめ
理学療法士の平均年収は約443.6万円で、額面だけを見れば極端に低い職種ではありません。
ただ、僕の10年間は基本給が約6万円、手取りが約3万円しか増えず、ノルマや歩合制による不安定さも抱えていました。
もし同じように「働いているのに給料が上がった実感がない」と感じていたら、それは努力不足ではなく、職種の構造が影響している可能性があります。
転職や副業など、現実的な選択肢を比べながら、自分に合った方法を探してみてください。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)理学療法士(PT)。年代別・看護師の数値は、賃金構造基本統計調査をもとに筆者が整理した目安です。給料の数字は筆者の勤務先でのものであり、すべての職場に当てはまるものではありません。









コメント
コメント一覧 (7件)
[…] 給料や昇給の構造については、理学療法士の年収の記事でも触れています。 […]
[…] 平均より多いか少ないか」だけで判断せず、賞与の仕組み(何か月分か、査定があるか)まで確認することが大切です。年収全体の見方は、理学療法士の年収は低い?でまとめています。 […]
[…] 理学療法士の年収は低い? […]
[…] ています。例:理学療法士の年収は低い? […]
[…] 理学療法士の年収は低い?にまとめています。 […]
[…] 日18単位というノルマがありました。18単位を超えないと残業代がつかず、18単位未満だとボーナスの査定が下がる仕組みでした。詳しくは、理学療法士の年収は低い?にまとめています。 […]
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