「理学療法士になったけど、何を勉強すればいいのか分からない」という新人・1〜3年目の方へ。整形外科クリニックで10年働いた筆者が、新人の頃に実際にやっていた勉強方法を5つにまとめました。
筆者も1年目の頃は、学校で勉強した知識だけでは臨床に対応できず、分からないことばかりでした。そこで、院内・院外の勉強会に参加したり、文献や参考書を読んだり、先輩や医師、同期に相談したりしながら勉強していました。
1.院内・院外の勉強会に参加する
新人の頃は、勉強会に積極的に参加していました。同じ法人内の勉強会が2か月に1回、大学時代の友人と参加する外部の勉強会が2か月に1回くらいでした。
勉強会の良かった点は、総論的に幅広く学べたことです。たとえば歩行や起居動作の正常と異常の違いです。動作分析は、正常な動作を知らなければ異常な動きに気づきにくいため、新人のうちに正常動作を学べたことは、その後の臨床でも役立ちました。症例検討も、同期や先輩が患者さんをどう評価し、何を考えて治療しているかを聞けて、自分になかった考え方を学べました。
一方で、筆者は地方出身のため、外部セミナーの受講で東京や神奈川まで行く必要がありました。受講料だけで約13,000円、交通費なども含めると1回2万円前後かかることもありました。今は、オンラインで勉強できる環境も増えています。料金や使い方が自分に合うかを見て選ぶことが大切で、まずはお金や移動時間をかけずに、noteなど無料で学べる媒体から始めるのも一つの方法だと思います。
2.文献を読む
筆者は、「自分が悩んでいることは、きっと他のセラピストや先人も悩んできたはず」と考えていました。だから、自分が悩んでいることは、すでに誰かが研究したり、まとめたりしているはずだと考えて、まず調べるようにしていました。自分の感覚だけで説明するのではなく、調べた内容をエビデンスとして説明できるからです。
もちろん、何でもすぐに答えが見つかるわけではありません。レアケースや一般的でない症状だと、参考になる文献にたどり着くこと自体が難しいこともあります。それでも、「自分だけで答えを出そうとせず、まず調べる」という習慣は、新人の頃から持っておいて損はありません。
3.参考書を読む
参考書は、手あたり次第に読むのではなく、自分が悩んでいる分野に合わせて選んでいました。筆者の場合は、次のような使い分けでした。
- 動作分析で悩んだとき:石井慎一郎先生の『バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践』(歩行や起居動作の正常を知るのに分かりやすかった)
- 触診・解剖学で分からないとき:『骨格筋の形と触察法』(クリニック勤務で触診が必須だった)
- 運動学・筋骨格系を勉強したいとき:『筋骨格系のキネシオロジー』(関節運動の細かい部分まで解説されていて読み応えがある)
新人の頃は分からないことが多いので、参考書を最初から全部勉強しようとすると大変です。それより、「今、この患者さんを見るために何が分からないのか」を考えて、その部分を調べるほうが効率的です。臨床で疑問に思ったことをそのままにせず、参考書を開いて確認する。これを繰り返すことで、少しずつ知識が増えていきました。
4.先輩や医師に相談する
筆者は、先輩や医師にもよく相談していました。特に確認していたのは、自分の評価や見立てに相違がないかです。評価によって治療が変わるので、「本当にここが患者さんのネックなのか」「ほかの疾患の可能性はないか」を確認していました。勤めていたクリニックにはMRIがなかったため、ヘルニアや脊柱管狭窄症だけでなく、循環器系や神経内科系など整形外科以外の疾患の初期症状ではないか、という視点も必要でした。疑わしい症状があるときは、自分だけで判断せず医師に相談しました。
大切なのは、何も考えずに「分かりません」と聞くのではなく、自分なりに評価して考えたうえで、何を相談するかを明確にすることです。相談は時間をもらうことになるので、見立てとそれを裏付ける評価を準備してから話すようにしていました。それ自体が勉強にもなります。相談するまでの早さと、日頃の人間関係も大切です。
5.同期の意見を聞く
同期は、新人の勉強にかなり役立ちました。先輩や医師への相談は、下調べをしてからなので少し緊張しますが、同期ならもっと気軽に話せます。「この患者さん、こう思うんだけどどう思う?」「それ違うんじゃない?」と、思ったことをすぐに言い合えます。一人で考えると考え方が偏りがちなので、同期の意見で自分になかった視点に気づくことがあります。もちろん同期の意見が必ず正しいわけではありませんが、気軽に意見を交換できる相手がいること自体が、新人にとって大きなメリットだと思います。
まとめ:最初から全部を完璧に勉強しなくていい
- 院内・院外の勉強会に参加する
- 文献を読む
- 参考書を読む
- 先輩や医師に相談する
- 同期の意見を聞く
まずは目の前の患者さんについて分からないことを見つけて、それを文献や参考書で調べ、勉強会で知識を広げます。緊急性があったり、調べても分からなければ、先輩や医師に相談します。早い段階で同期とも意見を交換します。新人の頃は分からないことが多くて当然です。「分からないことを恥ずかしいと思わず、調べる・聞く・考える」この習慣が、成長のために大切だと思います。
