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理学療法士が教える高齢者の転倒予防10選|家族が今日から確認できるポイント

高齢者の転倒予防10選

最近、親がよくつまずくんです。年のせいでしょうか?

「年だから仕方ない」で片づけず、なぜつまずくのかを見るのが転倒予防の第一歩です。家族が確認できるポイントをまとめます。

「最近、親がよくつまずくようになった」「何もないところで転ぶことが増えた」。

そんな変化があるなら、「年齢のせいだから仕方ない」だけで片づけない方がいいかもしれません。

高齢者の転倒は、単なるケガで終わらないことがあります。

消費者庁によると、「骨折・転倒」は介護が必要となった主な原因の4位に挙げられています。

また、高齢者の転倒・転落による死亡者数は、交通事故による死亡者数の約4倍とされています。

つまり、転倒を防ぐことは「ケガを防ぐ」だけではなく、その後の生活を守ることにもつながります。

僕は理学療法士として、これまで患者さんの歩き方や立ち上がり、バランス、身体機能などを見てきました。

その経験から、転倒予防で大切だと感じるのは、「転ばないように気をつける」だけではなく、「なぜ転びそうになっているのか」を考えることです。

この記事では、家族が今日から確認できる転倒予防を10個紹介します。

この記事のポイント
  • 転倒予防は「気をつけて」と言うだけでは不十分
  • 環境・身体機能・動作・体調の4つを合わせて見る
  • 「以前と比べて何が変わったか」に気づくことが大切
  • 転倒したら「どこで」より「なぜ」を考える
転倒予防で最初に見る5つの変化
家族が最初に気づきたい変化の例
目次

1.「最近よくつまずく」を見逃さない

まず家族に確認してほしいのが、以前と比べて歩き方が変わっていないかです。

こんな変化はありませんか?
  • 歩く速度が遅くなった
  • 歩幅が小さくなった
  • 足が上がりにくくなった
  • ふらつくことが増えた
  • 何もないところでつまずく
  • 椅子から立つのに時間がかかる

ここで重要なのは、単純に「年を取ったから」と考えないことです。

筋力やバランス能力の低下だけでなく、病気や薬、視力など、さまざまな要因が転倒に関係する可能性があります。

「前と何か違う」という家族の気づきは、転倒予防の大切なスタートになります。

2.床に「小さな危険」がないか確認する

次に、自宅の環境を確認しましょう。

特に注意したいのが、次のようなものです。

床の「小さな危険」
  • 電源コード
  • 小さな段差
  • めくれたマット
  • 床に置いた荷物
  • 敷物
  • 濡れた床

若い人なら簡単に避けられるものでも、足が上がりにくくなった高齢者にとっては転倒のきっかけになることがあります。

階段や浴室などは滑りやすい自覚があるので本人も気をつけるのですが、
リビングのちょっとした段差などは意識しないため、転倒する危険性が高いです。

消費者庁も、高齢者の転倒・転落対策として、住環境の確認や整理整頓などを挙げています。

本人に注意してもらうより、そもそも危険を減らす。

これも家族ができる重要な対策です。

3.「家の中で一番危ない場所」を探す

高齢者の転倒は、特別な場所だけで起こるわけではありません。

消費者庁が紹介する自宅内の事故では、浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、
玄関・勝手口、階段などが、転倒・転落の発生場所として挙げられています。

ここでおすすめなのが、実際に本人と同じ動線を歩いてみることです。

例えば、「ベッドからトイレまで」「玄関から外まで」「リビングから浴室まで」を実際に歩いて確認します。

本人が普段歩いている目線で見ると、「ここ、意外と危ないな」という場所が見つかることがあります。

4.夜間のトイレまでの動線を確認する

高齢者の転倒で特に注意したいのが、夜間の移動です。

夜中に目を覚まし、暗い部屋からトイレへ向かうとき、暗くて足元が見えない、
寝起きで身体が動きにくい、急いでいる、ベッド周囲に物がある、など複数の危険が重なることがあります。

夜間の転倒対策
  • 足元を照らす
  • ベッド周囲を整理する
  • トイレまでの動線を確保する
  • 必要に応じて手すりなどを検討する

「夜中にトイレへ行く」という日常動作そのものを、転倒リスクの視点から見直す。

これがポイントです。

5.「足が上がっているか」を見る

ここは理学療法士として、ぜひ家族に見てほしいポイントです。

歩いているときに、「足がちゃんと上がっているか」を確認してみてください。

以前より変わっていませんか?
  • すり足になっている
  • 歩幅が小さい
  • 足先が床に引っかかる
  • つまずきが増えた

転倒予防というと「床の物を片付ける」ことばかりに目が向きます。

しかし、本人の足が以前より上がらなくなっているなら、環境だけ変えても十分ではありません。

ここが理学療法士の視点です。

「転びやすい場所」だけでなく、「転びやすい身体の状態」も見る。

6.立ち上がった直後のふらつきを確認する

転倒は歩いている最中だけではありません。

特に注意したいのが、「座る→立つ→歩き始める」という一連の動作です。

家族が見るなら、「立ち上がった直後にふらついていないか」を確認してみてください。

もしふらつくのであれば、立ち上がってすぐ歩き出さず、まず姿勢を安定させることも一つの方法です。

また、立ち上がりそのものが以前より大変になっている場合は、下肢筋力など身体機能の変化がないか確認する必要があります。

歩行だけを見るのではなく、「歩き始めるまで」を見る。

これも転倒予防では重要です。

7.靴やスリッパを見直す

意外と見落とされやすいのが履物です。

サイズが合っていない、脱げやすい、滑りやすい、かかとが安定しない、といった状態になっていないでしょうか。

特に室内では、「ちょっとトイレに行くだけ」「ちょっと台所まで」といった短い移動が多くあります。

短い距離だから安全とは限りません。

毎日使っている履物だからこそ、一度見直してみましょう。

8.杖や歩行器が本人に合っているか確認する

杖や歩行器は、歩行を支えるための重要な道具です。

ただし、「杖を使えば転倒しない」わけではありません。

杖の高さや使い方が本人に合っているか、歩行器を安全に操作できているかなども重要です。

例えば、「杖を持っているけど、ほとんど体重をかけられていない」「歩行器を押すことで身体が前に行きすぎている」といった場合、
道具を持っているだけでは十分な対策になりません。

福祉用具について不安があれば、理学療法士や作業療法士、福祉用具専門相談員などに相談するのも一つの方法です。

9.筋力だけでなく「バランス」も維持する

「転倒予防=足の筋力をつける」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。

歩くためには、筋力、バランス能力、柔軟性、歩行能力など、さまざまな身体機能が関係します。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者について、
筋力・バランス・柔軟性など複数の要素を組み合わせた多要素運動を週3日以上行うことが推奨されています。

また、多要素運動によって、研究上、転倒リスクが12〜32%低減したとされています。

だからこそ、「とにかく歩けばいい」「スクワットだけすればいい」と単純に考えるのではなく、
本人の身体状態に合わせて運動を選ぶことが大切です。

10.転倒したら「どこで」より「なぜ転んだか」を考える

最後に、理学療法士として特に伝えたいことです。

転倒したとき、「玄関で転んだ」だけで終わらせないでください。

大切なのは、「なぜ玄関で転んだのか」です。

転倒の原因として考えられること
  • 段差につまずいた
  • 足が上がらなかった
  • バランスを崩した
  • 靴が脱げた
  • 急いでいた
  • 立ち上がった直後だった
  • 疲れていた

原因によって対策は変わります。

「玄関が危ないから段差をなくす」だけで解決するとは限りません。

原因対策の方向性
足の上がりにくさ身体機能へのアプローチが必要かもしれない
立ち上がり直後のふらつき動作の方法を見直す必要があるかもしれない
環境家の環境を変える必要がある
転倒の原因と考えられる対策の方向性

これが、「転倒した場所を見る」のではなく、「転倒した原因を見る」という理学療法士の視点です。

転倒予防は「本人に気をつけてもらう」だけではない

ここまで10個紹介しましたが、転倒予防で一番伝えたいのは、本人に「気をつけて」と言うだけでは不十分ということです。

転倒には、環境・身体機能・動作・体調など、さまざまな要因が関係します。

だからこそ家族には、「最近、歩き方が変わっていないかな?」という視点を持ってほしいです。

家の中を片付ける、杖を確認する、運動することも大切です。

でも、それと同じくらい、「以前と比べて何が変わったのか」を見ることが重要です。

まずは一度、本人が普段歩いている家の中を一緒に歩いてみてください。

「もし自分がこの身体だったら、ここで転びそうだな」という視点で見ると、
今まで気づかなかった危険が見えてくるかもしれません。

ご注意

この記事は一般的な情報です。

転倒を繰り返している場合、以前と比べて歩き方が急に変わった場合、転倒後に痛みや歩行困難がある場合は、
自己判断せず、医師や理学療法士、作業療法士などに相談してください。

よくある質問

高齢者の転倒予防で一番大切なことは?

一つに決めることはできません。

生活環境だけでなく、筋力・バランス・歩行能力・体調などを合わせて考えることが重要です。

転倒予防のために高齢者は運動した方がいい?

厚生労働省は、高齢者に筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた多要素運動を週3日以上行うことを推奨しています。

ただし、現在の身体状態によって適した運動は異なります。

杖を使えば転倒を防げますか?

杖は歩行を支える道具ですが、使用すれば必ず転倒を防げるわけではありません。

高さや使い方、本人の身体能力との適合を確認することが重要です。

高齢者が一度転倒したら、何を確認すればいい?

転倒した場所だけでなく、「何が原因だったのか」を確認してみてください。

環境、足の上がりにくさ、バランス、立ち上がり、体調などを振り返ることで、次の転倒予防につながる可能性があります。

転倒を繰り返す場合はどうすればいい?

家の環境を見直すだけでなく、医師や理学療法士、作業療法士などに相談することを検討してください。

特に、以前と比べて歩き方が急に変わった場合や、転倒後に痛み・歩行困難がある場合は、医療機関への相談が必要です。

まとめ

高齢者の転倒予防で、家族が確認したいのは、つまずきの変化、床の小さな危険、家の中で危ない場所、夜間のトイレの動線、
足の上がり、立ち上がり直後のふらつき、靴やスリッパ、杖や歩行器、バランス、そして転倒の原因の10個です。

転倒予防は、何か特別なことを一つ始めれば終わり、というものではありません。

環境と身体の両方を見る。

そして、以前との変化に気づく。

それが、家族ができる転倒予防の第一歩です。

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この記事を書いた人

10年目の現役理学療法士(PT)です。
当サイト「リハジョブ」では、「理学療法士が60歳まで不安なく働ける」ことをテーマに理学療法士の悩み・転職情報を中心に発信しています。
私は10人以上のSV(スーパーバイザー)、30人以上の実習生を指導。FP2級を取得し、社会人として必要な税金・金融・ライフプランの知識を網羅。
現役理学療法士で将来に不安を感じている方も多いと思います。少しでもその不安・悩みを解決していただけるよう、全力でサイト運営していきます。

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