「この患者さん、ちょっと苦手だな……」と感じたことは、理学療法士なら一度はあると思います。整形外科クリニックで10年働いた筆者が、対応が難しいと感じた患者さんの特徴5つと、実際にどう対応してきたかをまとめました。
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患者さんを嫌っているわけではありません。理学療法士も人間なので、すべての患者さんと相性がいいわけではない、という前提で読んでください。ここで紹介する特徴に当てはまるからといって、その患者さんが悪いわけではありません。入院ではなく、ADLが自立している外来患者さんならではの難しさも多くありました。
理学療法士が苦手と感じやすい患者5選
1.はじめからリハビリに懐疑的な患者
リハビリを始める前から「リハビリやって意味あるの?」「やりたくない」と言われるケースです。一度やったあとなら理解できますが、初回のリハビリ前から言われるとお手上げでした。院長の判断でリハビリに送られてくる患者さんの中には、院長の前では言えず、リハビリ室に来てから「実はそこまで希望していない」と言う方もいました。対応としては、まずリハビリの目的や効果を説明し、「なぜ今この患者さんにリハビリが必要なのか」を伝えます。
2.自分で調べた持論を持ってくる患者
ネットなどで調べた情報を強く信じている患者さんです。こういう場合は、「どこで見たのか」「何が不安なのか」を聞きます。そのうえで、その情報が実際の症状と合っているかを比較して説明します。たとえば脊柱管狭窄症は、しびれや間欠性跛行などが特徴的な症状です。患者さんが「自分は脊柱管狭窄症だと思う」と考えていても、その症状がなければ、「こういう症状が出ることがありますが、今のお話ではその症状はありませんよね」と、違いを一つずつ確認します。「間違いです」と否定するのではなく、情報と実際の症状を比べて説明することが、情報があふれる今の時代には大切だと思っています。
3.予約前に来ているのに待てない患者
予約時間よりかなり早く来て、待てずに不機嫌になる患者さんです。こちらも「早く対応しないと」と焦りますが、そこで今の患者さんへの対応が雑になっては本末転倒です。予約通りに来ている患者さんを優先するのは当然で、目の前の患者さんをしっかり治療し、結果を出して信頼してもらうことに集中していました。そういう患者さんには、朝一や午後一など待ち時間が少なくなりそうな時間を案内することもありました。一方、予約に遅れてくる患者さんには、こちらも予定どおりに治療できるとは限らないので、「お互い様」くらいの気持ちで寛容に接しました。
4.特定のセラピストにだけ態度が違う患者
少し特殊なケースです。たとえば女性セラピストが担当している患者さんを、そのセラピストが休みの日に筆者が代わりに担当すると、明らかに不機嫌になり、リハビリ中の態度も違いました。内心イラッとしますが、こちらまで態度を変えても仕方ないので、いつも通りに接してやるべきことをやって終えます。今後同じことが起きないよう、担当の女性セラピストとも情報共有していました。
5.自分の希望ばかりを押し通す患者
こちらの提案より、自分の希望ばかりを優先してほしい患者さんです。この場合も、次の対応ポイントが基本になります。
苦手な患者への対応ポイント5つ
1.まずは患者さんの話を聞く
実習などでしつこく言われることですが、最も重要です。苦手な患者さんほど、こちらから一方的に説明したくなります。「なぜリハビリをやりたくないか」「何が不安か」「なぜその治療を希望するか」「ネットで何を調べたか」を聞くと、その態度の理由が見えてくることがあります。まず聞いて、そのうえで必要なことを説明する、という順番を意識していました。
2.「なぜリハビリが必要なのか」を説明する
「この運動をやります」だけではなく、「今の身体の状態ではここが問題になっているので、この部分を改善するためにこの運動をします」と、目的まで伝えます。意味を理解してもらえると、少しずつ協力してもらえることがあります。
3.患者さんの不安と実際の症状を比較して説明する
不安を否定するのではなく、実際の症状と比べて説明します。言い負かすためではなく、患者さん自身に「自分の症状とネットの情報は本当に同じなのか」を考えてもらうためです。患者さん自身が違いに気づけるように説明したほうが、納得してもらいやすいと感じていました。
4.相手の態度に引っ張られない
相手が不機嫌でも、こちらはいつも通りに接して、やるべきことをやる。これが基本です。
5.一人で抱え込まず、周りと共有する
うまくいかないケースは、先輩や上司に相談することも必要です。すべてを自分のコミュニケーション能力だけで解決しようとしなくて大丈夫です。心の中だけで患者さんのせいにしても大丈夫です。そうじゃないとやっていられません。
苦手な患者がいる=理学療法士に向いていない?
筆者はそうは思いません。理学療法士も人間なので、患者さんとの相性はあります。10年働いた筆者も、すべての患者さんと相性が良かったわけではありません。大切なのは、無理に好きになることではなく、「苦手な相手とどう関わるか」を考えることです。必要なコミュニケーションを取り、状態を評価して、できる限り適切なリハビリを提供できていれば十分な場合もあります。
まとめ
- 苦手と感じやすい患者:懐疑的/持論を持ってくる/待てない/セラピストで態度が違う/希望を押し通す
- 対応:まず話を聞く/必要性を説明する/不安と症状を比較する/態度に引っ張られない/一人で抱え込まない
- 苦手な患者がいても、向いていないわけではない
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