デイサービスで働く理学療法士は何をするのか。病院やクリニックと何が違うのか。機能訓練指導員の仕事内容、メリット・デメリット、向いている人を、厚生労働省の資料をもとに整理しました。
※本記事は筆者(整形外科クリニック勤務を中心に約10年)の実体験ではなく、厚生労働省の資料などの公開情報をもとに整理したものです。制度や数値は変わることがあるため、最新は公式でご確認ください。
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デイサービスのPTって、病院と何が違うんですか?



僕も介護の現場にいたわけではないので、厚労省の資料を読みながらまとめました。違いが分かりやすいように、表も入れています。
デイサービスで理学療法士は何をする?
デイサービス(通所介護)の理学療法士は、機能訓練指導員として、利用者さんの身体機能や生活機能の維持・向上を支援します。
「利用者さんにリハビリをする人」と考えるより、「生活機能を維持・向上させる役割」と考えると分かりやすいです。
病院や整形外科クリニックでは、疾患やケガに対する治療としてリハビリを行うことが多くなります。
デイサービスでは、利用者さんができるだけ自立した生活を続けられるように支援することが重要です。
厚生労働省の基準では、個別機能訓練加算について、利用者ごとの個別機能訓練計画を作成し、その計画に基づいて機能訓練を行い、進捗状況を定期的に評価することなどが定められています。
つまり、デイサービスの機能訓練は「みんなで体操をするだけ」ではありません。
身体機能や生活状況を確認し、次のような点を踏まえて、その人に必要な機能訓練を考えます。
- 筋力
- バランス能力
- 歩行能力
- 立ち上がり動作
- 日常生活動作
- 自宅での生活状況
機能訓練指導員はPTだけではない
「デイサービスのリハビリ=理学療法士」というイメージがあるかもしれませんが、機能訓練指導員になれるのはPTだけではありません。
厚生労働省の調査では、通所介護の機能訓練指導員1,115人の資格は、看護師が36.0%、准看護師が29.6%、理学療法士が11.5%でした。
看護師と准看護師を合わせると65.6%を占めています。
そのため、PTがデイサービスで働く場合は、医療機関とは違った専門性の活かし方を考える必要があります。
病院・クリニックとデイサービスの違い
| 病院・クリニック | デイサービス | |
|---|---|---|
| リハビリの目的 | 疾患やケガの治療、機能回復 | 生活機能の維持・向上、自立した生活の支援 |
| 主な視点 | 評価・治療・術後の回復 | 転倒予防、動作の維持・改善、自宅での安全な生活 |
| 連携する職種 | 医師・看護師など医療職が中心 | 介護職・看護職・生活相談員など |
| 目標の例 | 膝の可動域・筋力・歩行能力の改善 | 自宅のトイレまで安全に歩ける、一人で椅子から立ち上がれる |
病院では、膝の手術を受けた患者さんの可動域や筋力、歩行能力を評価して、機能回復を目指すことが中心です。
デイサービスでは、「下肢筋力を上げる」だけでなく、「買い物に行くための体力を維持する」といった、実際の生活につながる目標を考えます。
大きな違いは、リハビリの目的がより生活に近いところにあることです。



実際に働くと、どんなところが大変なんでしょうか?



施設によって差が大きいので、言い切れないのが正直なところです。確認しておきたい点も、後半にまとめました。
理学療法士がデイサービスで働くメリット
1.利用者さんと長く関われる
デイサービスでは、同じ利用者さんが継続して利用することがあります。
「歩行が安定してきた」「立ち上がりが楽になった」「以前より外出するようになった」といった長期的な変化を見ながら関われます。
2.生活に近いリハビリができる
生活の中でできることを増やす視点で、リハビリを考えます。身体機能だけでなく、生活全体を見ながら支援できることもメリットです。
3.病院・クリニック以外の経験を積める
デイサービスで経験を積むことで、医療機関とは違った介護・地域分野の知識や経験を身につけられます。
将来、訪問リハビリや介護施設など別の分野に挑戦したい人にとっても、経験を活かしやすいでしょう。
4.多職種と連携する経験が身につく
介護職、看護職、生活相談員など、さまざまな職種と連携します。
「普段の生活ではどうなのか」「家族はどう感じているのか」「介護の場面で困っていることは何か」といった情報も重要です。
理学療法士がデイサービスで働くデメリット
1.医療的なリハビリをしたい人には物足りないことがある
デイサービスでは、疾患や術後の状態を詳しく評価して治療を進めることだけが仕事ではありません。
次のような希望がある人は、仕事内容に物足りなさを感じる可能性があります。
- 術後リハビリを専門的に経験したい
- 急性期のリスク管理を学びたい
- 特定の疾患に対する治療技術を深めたい
- 臨床推論をどんどん磨きたい
「理学療法士として何を身につけたいのか」によって、合う職場は変わります。
2.リハビリ以外の業務もある
事業所によって異なりますが、記録、個別機能訓練計画の作成、他職種との情報共有、利用者さんの見守りなどが発生します。
厚生労働省の調査では、通所介護の機能訓練指導員1,115人のうち、機能訓練指導員の職務に専従していたのは34.2%で、63.9%は他の職務と兼務していました。
「PTだから1日中リハビリだけを担当する」とは限りません。
3.介護現場の働き方に慣れが必要な場合がある
他職種との役割分担など、医療分野を中心に経験してきたPTにとっては、最初は慣れない部分もあるでしょう。
4.「デイサービスだから楽」とは限らない
「病院よりゆったり働けそう」と思う人もいるかもしれませんが、実際の業務量は事業所によって異なります。
利用者さんへの対応に加えて、記録や計画書の作成、他職種との連携もあります。デイサービスが必ず楽な職場とは言えません。
デイサービスで働くのが向いている理学療法士
- 利用者さんと長く関わりたい人
- 生活に近いリハビリがしたい人(「その人が生活の中で何ができるか」を考えるのが好きな人)
- 高齢者と関わることが好きな人
- 医療機関以外で働いてみたい人(介護・地域分野の経験を積みたい人)
- 多職種で仕事をしたい人
よくある質問
デイサービスの理学療法士は楽ですか?
一概には言えません。
医療機関とは仕事内容が異なりますが、機能訓練、記録、計画書作成、他職種との連携などがあります。
業務量は事業所によっても異なります。
デイサービスではPT以外も機能訓練を担当しますか?
はい。機能訓練指導員になれる資格は理学療法士だけではありません。
看護師・准看護師、作業療法士、柔道整復師なども機能訓練指導員として配置されています。
病院とデイサービスではどちらが向いていますか?
理学療法士として何をしたいかによって変わります。
疾患や術後の治療を深めたいなら医療機関、生活に近い支援や高齢者との長期的な関わりを重視するならデイサービスが選択肢になります。
デイサービス以外の介護施設でも働けますか?
はい。
介護老人保健施設や高齢者介護施設など、介護分野にはPTの資格を活かせる職場があります。
まとめ
デイサービスは、病院やクリニックとは少し違った形で理学療法士の資格を活かせる職場です。
利用者さんが現在の生活をできるだけ長く続けられるように支援することが重要になります。
機能訓練指導員はPTだけではなく、リハビリ以外の業務を兼務するケースも多いため、事業所ごとの働き方を確認したうえで職場を選びましょう。
よくある質問
- デイサービスで働く理学療法士は、どんな立場になりますか?
-
機能訓練指導員として配置されることが多いようです。業務内容や兼務の有無は事業所によって違うため、求人票や面接で確認してください。
- 病院との一番の違いは何ですか?
-
医療よりも生活支援の色が強く、集団での体操と個別機能訓練を組み合わせる事業所が多いようです。施設ごとの差が大きいので、見学がおすすめです。
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