老健(介護老人保健施設)で働く理学療法士は何をするのか。特養やデイケアと何が違うのか。人員基準、仕事内容、メリット・デメリット、向いている人を、公的資料をもとに整理しました。
※本記事は筆者(整形外科クリニック勤務を中心に約10年)の実体験ではなく、厚生労働省や都道府県の公開資料をもとに整理したものです。制度や数値は変わることがあるため、最新は公式でご確認ください。
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老健って、PTにとってどんな職場なんですか?



正直、僕は老健で働いたことがないので、自信満々には言えません。公的な資料をもとに、できるだけ分かりやすく整理してみました。
老健(介護老人保健施設)とは
老健は、病状が安定していて入院治療までは必要ないものの、リハビリや看護・介護を必要とする方が入所する介護保険施設です。
一般に、在宅復帰を目指すことが大きな役割とされています。
理学療法士にとっては、病院と在宅の間をつなぐ生活期のリハビリを経験できる職場の一つです。
老健はどのくらいある?理学療法士は何人いる?
厚生労働省の「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和6年10月1日時点)では、介護老人保健施設は4,214施設で、前年より36施設(0.8%)減っています。
定員は365,939人でした。1施設あたりの在所者数は76.7人(9月末時点)、利用率は88.2%です。
老健で働くリハビリ職の人数(実人員)は、次のとおりです。
- 理学療法士:15,035人
- 作業療法士:9,313人
- 言語聴覚士:2,892人
この数値は常勤換算ではなく、実人員で示されています。
老健の人員基準|PTは入所者100人に1人以上
都道府県の手引き(熊本県「介護老人保健施設の手引き」令和7年6月)では、老健の主な人員基準が次のように整理されています。
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 医師 | 常勤換算で入所者数÷100以上(常勤医師1人以上) |
| 看護職員・介護職員 | 常勤換算で入所者3人につき1以上 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 常勤換算で入所者数÷100以上(入所者100人につき1人以上) |
| 支援相談員 | 常勤1以上(入所者が100人を超える場合は増員) |
| 介護支援専門員 | 常勤・専従で1以上(入所者100人につき1人が標準) |
PT・OT・STの基準は、「常勤換算」で入所者100人につき1人以上です。これは制度上の最低限の配置で、実際には基準より多く配置している施設もあります。
入所定員が100人前後の施設では、リハビリ職の人数が少なくなりやすいため、転職前に「PTが何人いるか」「OT・STを含めて何人か」を確認することが大切です。
老健で働く理学療法士の仕事内容
具体的な業務は施設によって異なりますが、一般に次のような仕事があります。
1.入所者のリハビリ(評価・訓練)
入所者の身体機能や動作を評価し、歩行、立ち上がり、移乗、トイレ動作などの練習を行います。
目標は、機能の改善だけでなく、在宅や施設での生活で「できること」を増やすことです。
2.リハビリ計画の作成と見直し
評価をもとに、目標とリハビリの内容を計画にまとめ、定期的に見直します。入所者や家族への説明も、重要な仕事です。
3.在宅復帰に向けた支援
退所後の生活を見据えて、家族への介助方法の指導や、自宅の環境についての助言を行います。
施設によっては、退所前に自宅を訪問して確認する場合もあります。
4.多職種との連携
医師、看護師、介護職、支援相談員、ケアマネジャー、管理栄養士など、多くの職種と情報を共有します。
カンファレンスで、生活全体の目標をすり合わせることも多くなります。
5.通所・訪問リハなど併設サービスの対応
老健では、通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリを併設している施設もあります。その場合、入所だけでなく、通所や訪問の担当を兼ねることがあります。
老健・特養・デイケアの違い
| 老健 | 特養 | デイケア | |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 在宅復帰を目指す | 生活の場として長く暮らす | 日帰りで通うリハビリ |
| PT等の配置 | PT・OT・STで入所者100人につき1人以上 | 機能訓練指導員を配置 | PT・OT・STの人員基準あり |
| リハビリの位置づけ | 在宅復帰に向けた生活期リハ | 機能維持・生活支援の面が大きい | 通所でのリハ・自立支援 |
老健は、特養よりもリハビリの比重が高く、在宅復帰が目標になる点が特徴です。ただし、実際の働き方は施設ごとに大きく違います。



実際に働くと、どんなところが大変なんでしょうか?



施設によって差が大きいので、言い切れないのが正直なところです。確認しておきたい点も、後半にまとめました。
理学療法士が老健で働くメリット
1.生活期のリハビリを経験できる
病院のリハビリが「治療と機能回復」中心になりやすいのに対し、老健では「在宅や施設での生活」に近い視点で関われます。
2.OT・STなど、リハビリ職の仲間がいる場合が多い
入所者100人につきPT・OT・STで1人以上の基準があるため、PT・OT・STが同じ施設にいる職場もあります。
他のリハビリ職と、情報を共有しながら働ける可能性があります。
3.多職種連携を経験できる
医師、看護師、介護職、支援相談員などと連携して、在宅復帰を目指します。チームで入所者を支える経験は、他の職場でも役立ちます。
4.将来、在宅分野にも活かしやすい
退所後の生活を考える経験は、訪問リハビリや訪問看護ステーションなどの在宅分野を目指すときにも活かしやすいでしょう。
理学療法士が老健で働くデメリット
1.急性期や術後のリハビリは少なくなる
老健は、病状が安定した方が中心です。
急性期のリスク管理や、術後リハビリを深く経験したい人には、物足りなく感じる可能性があります。
2.リハビリ以外の業務が発生する場合がある
施設によっては、記録、会議、書類作成、送迎、介助、行事の対応などを担当します。「リハビリだけを担当する」とは限りません。
3.PTの人数や担当人数は施設によって違う
基準は入所者100人につき1人以上ですが、実際の人数は施設ごとに異なります。1人あたりの担当人数が多いと、1人に使える時間が限られる場合があります。
4.施設ごとに働き方の差が大きい
入所のみの施設、通所や訪問を併設している施設など、形態はさまざまです。「老健だからこう」と決めつけず、実際の業務内容を確認しましょう。
老健で働く理学療法士に向いている人
- 生活期のリハビリに興味がある人
- 在宅復帰を支えることにやりがいを感じる人
- 多職種と協力して働きたい人
- 高齢者との関わりを大切にしたい人
- 将来、訪問や介護分野で働きたい人
転職前に確認しておきたいこと
老健への転職を考えるなら、給与や休日だけでなく、実際の働き方を確認することが重要です。
特に、次の項目は働きやすさに大きく関係します。
- PT・OT・STの人数
- 1日に担当する入所者数・単位数
- 入所のみか、通所・訪問も兼ねるか
- リハビリ以外の業務(記録、送迎、介助など)
- カンファレンスや会議の頻度
- 在宅復帰に向けた取り組み
- オンコールや夜勤の有無
まとめ
老健は、在宅復帰を目指す生活期のリハビリを経験できる職場です。
PTは、常勤換算で入所者100人につき1人以上という人員基準があり、OT・STとともに働く職場も多くあります。
一方で、実際の人数や業務内容、通所・訪問の兼務の有無は施設ごとに違います。
「老健だから働きやすい」と決めつけず、実際の働き方を確認したうえで職場を選びましょう。
よくある質問
- 老健の理学療法士は、何人くらい配置されていますか?
-
人員基準では、常勤換算で入所者100人につき1人以上とされています。実際の人数は施設ごとに違うので、見学や面接で確認しておくと安心です。
- 老健と特養は、どう違いますか?
-
老健は在宅復帰を目指すリハビリが中心、特養は長く暮らす生活の場という位置づけです。リハビリの比重や役割が違うため、求人を見るときは施設の種類を確認してください。
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