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理学療法士が教える高齢者の筋力低下を防ぐ方法10選|厚労省ガイドをふまえて解説

高齢者の筋力低下を防ぐ方法10選

年のせいか、立ち上がるのが大変になってきました。筋力低下は防げますか?

厚生労働省のガイドを踏まえて、高齢者が取り組みやすい方法を10個にまとめました。まずは「今より少し動く」からで大丈夫です。

「最近、立ち上がるのが大変になってきた」「歩くのが遅くなった気がする」「少し外出しただけで疲れる」。

高齢になると、このような身体の変化を感じることがあります。

その背景の一つにあるのが、加齢や活動量の低下による筋力・身体機能の低下です。

筋力が低下すると、立ち上がりや歩行などの日常動作が難しくなるだけでなく、活動量がさらに減ってしまうこともあります。

では、筋力低下を防ぐためには何をすればいいのでしょうか。

今回は理学療法士の視点から、高齢者が取り組みやすい筋力低下予防の方法を10個紹介します。

この記事のポイント
  • 厚生労働省は高齢者に1日40分以上の身体活動、筋トレ週2〜3日などを推奨
  • いきなり目標を達成する必要はなく、「今より少しでも多く動く」ことが基本
  • 筋力だけでなくバランスや栄養、外出する習慣も大切
  • 一番大切なのは「続けられる方法」を選ぶこと
目次

高齢者はどのくらい身体を動かせばいい?

まず知っておきたいのが、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」です。

このガイドでは、高齢者に対して、次のことが推奨されています。

高齢者の身体活動ガイド(厚生労働省)
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が高齢者に推奨している内容
項目推奨内容
身体活動歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上
筋力トレーニング週2〜3日
多要素な運動筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上
座りっぱなし座りっぱなしの時間を長くしすぎない
高齢者に推奨されている身体活動(厚生労働省 ガイド2023)

ただし、これは「全員がいきなり6,000歩歩かなければいけない」という意味ではありません。

現在の体力や身体状況には個人差があります。

厚生労働省も、今より少しでも多く身体を動かすことを基本的な考え方として示しています。

さらに、厚生労働省が紹介している研究では、週15メッツ・時以上の身体活動を行っている高齢者は、
身体活動をほとんど行わない高齢者と比較して、総死亡や心血管疾患死亡のリスクが約30%低かったという結果も示されています。

ただし、これは「6,000歩歩けば死亡リスクが30%下がる」という意味ではありません。

研究上の関連を示したデータであり、年齢や健康状態などによって個人差があります。

こうしたデータも踏まえて、実際にできることを見ていきましょう。

1.まずは今より歩く時間を増やす

筋力低下を防ぐために、最初から本格的な筋トレをする必要はありません。

普段あまり身体を動かしていないのであれば、現在より少し活動量を増やすことから始めてみましょう。

今より少し動くための例
  • 近所を散歩する
  • 買い物に歩いて行く
  • 家の中をこまめに歩く
  • エレベーターの代わりに階段を使う

厚生労働省では、高齢者の身体活動について1日40分程度、約6,000歩が一つの目安として示されています。

ただし、現在ほとんど歩いていない人が、いきなり6,000歩を目指す必要はありません。

まずは今より10分多く歩くなど、無理なく増やすことから始めましょう。

2.椅子からの立ち上がりを行う

高齢者の筋力低下予防で取り入れやすいのが、椅子からの立ち上がり運動です。

椅子に座った状態から立ち上がり、ゆっくり座ります。

この動作では、太ももの筋肉、お尻の筋肉、体幹などを使います。

特に理学療法士が日常生活で確認することの多い動作の一つが、「椅子からスムーズに立てるか」です。

立ち上がりが難しくなっている場合、下肢の筋力だけでなく、関節の動きやバランス、痛みなどが影響している可能性もあります。

最初は無理に回数を増やさず、安全にできる範囲から始めましょう。

3.かかと上げを取り入れる

立った状態で、ゆっくりかかとを上げ下げします。

主にふくらはぎの筋肉を使う運動です。

ふくらはぎの筋肉は、歩行時の蹴り出しなどにも関係しています。

ただし、立位が不安定な人は注意が必要です。

机や手すりなど、身体を支えられる場所の近くで行うようにしてください。

「何回やればいい」と決めるより、まずは安全にできる回数から始めることが大切です。

4.バランス能力も一緒に鍛える

筋力低下を防ぐと聞くと、筋トレだけを考える人もいるかもしれません。

しかし、高齢者の場合は筋力だけでなくバランス能力も重要です。

バランスを鍛える運動の例
  • 両足を前後に開いて立つ
  • 支えを使って片足立ちをする
  • ゆっくり方向転換する

厚生労働省も、高齢者に対して筋力だけでなく、バランスや柔軟性などを組み合わせた多要素な運動を推奨しています。

ただし、片足立ちなどは転倒につながる可能性があります。

ふらつきが強い場合は、無理に行わず、専門職に相談してください。

5.座っている時間を減らす

「運動する時間を作る」だけでなく、普段の生活で動かない時間を減らすことも重要です。

例えばテレビを見ているとき、ずっと座っている→CMになったら立つ→少し歩く、
というように、生活の中で身体を動かす機会を作ります。

厚生労働省も、高齢者に対して座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにすることを推奨しています。

「運動を30分しなければ」と考えるより、こうした小さな活動を積み重ねる方法なら取り組みやすいでしょう。

6.外出する習慣を維持する

筋力低下を防ぐためには、外出する機会を維持することも大切です。

外出の機会の例
  • 買い物
  • 散歩
  • 趣味の集まり
  • 家族との外出
  • 地域活動

外出すると、自然と歩いたり立ったりする機会が増えます。

さらに、外出する→歩く→人と交流する→また外出する、という生活のサイクルにもつながります。

「筋トレをしなければ」と考えるのではなく、外出する目的を作ることで自然に身体を動かすという考え方も大切です。

7.筋力トレーニングは週2〜3日を目安にする

筋力を維持・向上させるためには、筋力トレーニングも重要です。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、
筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。

ここで注意したいのは、毎日やればやるほどいいわけではないということです。

筋力トレーニングでは、運動だけでなく休養も重要になります。

特に今まで運動習慣がなかった人は、最初から強い負荷をかけるのではなく、身体の状態を確認しながら少しずつ始めましょう。

8.慣れてきたら少しずつ負荷を上げる

筋トレを始めたばかりの頃は、少ない回数でも十分な負荷になることがあります。

しかし、同じ運動を続けて身体が慣れてきたら、少しずつ負荷を調整することも必要です。

例えば、5回できるようになる→10回に増やす→余裕が出てきたら方法を調整する、というように、段階的に進めます。

ただし、これは限界まで追い込むという意味ではありません。

高齢者の場合、痛み、強い疲労、ふらつき、息苦しさなどがある場合は、運動量を見直す必要があります。

「少しきついけれど安全にできる」程度から始め、身体の反応を見ながら調整しましょう。

9.筋肉を維持するために食事も見直す

筋力低下を防ぐためには、運動だけでなく栄養にも目を向ける必要があります。

筋肉を維持するには、エネルギーやたんぱく質などの栄養素が必要です。

特に高齢者では、食欲が落ちる、食事量が減る、食事内容が偏る、といったことが起こる場合があります。

そのため、主食・主菜・副菜などを組み合わせ、できるだけ偏りの少ない食事を心がけましょう。

また、「最近急に体重が減った」「食事がほとんど取れない」という場合は、
単純に運動量を増やすのではなく、医師や管理栄養士などに相談することも重要です。

10.一番大切なのは「続けられる方法」を選ぶこと

最後に、理学療法士として伝えたいのが、継続できる方法を選ぶことです。

どれだけ効果が期待できる運動でも、きつくて続かなければ長期的な取り組みにはつながりません。

好きなこと・習慣身体を動かす方法
散歩が好き散歩をする
テレビを見るCM中に立つ
庭仕事が好き庭で身体を動かす
買い物が好き歩いて買い物に行く
生活に合わせた続けやすい方法の例

このように、自分の生活に合わせて身体を動かす方法を考えてみましょう。

厚生労働省も、個人差を踏まえて身体活動の強度や量を調整し、「今より少しでも多く身体を動かす」ことを推奨しています。

「毎日完璧に運動する」よりも、無理なく長く続けられる方法を見つけることが大切です。

ご注意

これはあくまで一般的な目安です。

すでに転倒を繰り返している、歩行が大きく不安定、強い痛みがある、持病があるといった場合には、
自己判断で運動量を増やすのではなく、医師や理学療法士などの専門職に相談してください。

よくある質問

高齢者は毎日筋トレしたほうがいいですか?

必ずしも毎日行う必要はありません。

厚生労働省は筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。

身体の状態に合わせて無理なく続けることが大切です。

ウォーキングと筋トレはどちらがいいですか?

目的が異なるため、どちらか一方に絞る必要はありません。

歩行などの身体活動に加えて、筋力トレーニングやバランス運動などを組み合わせることが、高齢者の身体機能維持には重要です。

運動が苦手な高齢者は何から始めればいいですか?

まずは今より少し身体を動かすことから始めてみましょう。

短時間の散歩や、座っている時間を途中で区切ることでも構いません。

膝や腰が痛くても運動できますか?

痛みの原因や程度によって異なります。

痛みが強い場合や運動によって症状が悪化する場合は、無理に続けず、医師や理学療法士などに相談してください。

まとめ

高齢者の筋力低下を防ぐ方法として、今より歩く時間を増やす、椅子からの立ち上がり、
かかと上げ、バランス、座る時間を減らす、外出する習慣、筋トレは週2〜3日、
負荷は少しずつ、食事の見直し、続けられる方法を選ぶ、の10個を紹介しました。

厚生労働省では、高齢者に対して1日40分程度の身体活動、
筋力トレーニング週2〜3日、多要素な運動週3日以上などを推奨しています。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。

無理のない範囲で、今より少しでも多く身体を動かすことから始めてみてください。

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この記事を書いた人

10年目の現役理学療法士(PT)です。
当サイト「リハジョブ」では、「理学療法士が60歳まで不安なく働ける」ことをテーマに理学療法士の悩み・転職情報を中心に発信しています。
私は10人以上のSV(スーパーバイザー)、30人以上の実習生を指導。FP2級を取得し、社会人として必要な税金・金融・ライフプランの知識を網羅。
現役理学療法士で将来に不安を感じている方も多いと思います。少しでもその不安・悩みを解決していただけるよう、全力でサイト運営していきます。

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