厚生労働省は9月3日に、「第2回 理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会」を開催。日本理学療法士協会と日本作業療法士協会は、新カリキュラムとして教育内容や単位数についての提案を行いました。

日本理学療法士協会からの提案

総単位数を現行の93単位から105単位へ12単位増とし、社会保障制度論、医療経済学 社会福祉学、薬理学、栄養学、画像診断学、救命救急医学等を新たに追加すべき科目として挙げています。また臨床実習の在り方に関する課題では、対象者(患者)の権利意識向上、理学療法学生の裾野の拡がり、ストレス対応能の低下、ハラスメントへの対応、診療報酬に追われる臨床の実態、「教育」を学んでいない実習指導者等が意見として出されています。

日本作業療法士協会からの提案

総単位数を現行の93単位から101単位へ8単位増とし、新たに追加された教育目的として以下のように意見を出しています。
・保健・医療・福祉に関する政策、システムを含めた制度と経済的な観点、人権擁護や社会的公正の視点を持ちつつ、多職種連携や安全管理と組織運営に関するマネジメント力を養う。
・予防を含めた健康増進、作業を用いた生活行為の維持向上、地域包括ケアシステムの視点を持ちつつ、各障害に即した地域ケア活動を展開するための能力を養う。

第1回検討会での議論を踏まえた カリキュラム等の改善について
1.総単位数の見直しについて

高齢化の進展に伴う医療需要の増大や、地域包括ケアシステムの構築など、理学療法士・作業療法士を取り巻く環境の変化に伴い、臨床実習などの必要なカリキュラムを追加するべきではないか。

2.臨床実習の在り方について

(1)臨床実習の質を向上するため、臨床実習施設の要件を以下のとおり見直してはどうか。

(現 行)
実習時間の3分の2以上は病院又は診療所において行うこと。
(改正イメージ)
実習時間の3分の2以上は医療提供施設(医療法第1条の2第2項に規定する医療提供 施設(除く薬局、助産所)をいう。)において行うこと。 ただし、医療提供施設における実習の2分の1以上は病院又は診療所で行うこと。 また、地域包括ケアシステムにおけるリハビリテーション(介護保険法第8条第5項に 規定する訪問リハビリテーション、同条第8項に規定する通所リハビリテーションをいう。)に関する実習を24時間以上行うこと。

(現 行)
実習施設のうち少なくとも1か所は養成施設に近接していることが望ましいこと。
( 案 )
養成施設は、自ら実習施設を置くことが望ましい。実習施設を置かない場合にあっては、 契約により他の施設を確保しなければならない。そのうち少なくとも1か所の実習施設は 養成施設に近接していること。

(2)臨床実習の質を向上するため、臨床実習指導者の要件を以下のとおり見直してはどうか。 また、臨床実習指導者講習会(仮称)については、医師の「指導医講習会」を参考に基準を定めてはどうか。

免許を受けた後5年以上業務に従事した者であり、次のいずれかの講習会を修了した者であること。
・ 厚生労働省が指定した臨床実習指導者講習会(仮称)
・ 厚生労働省及び公益財団法人医療研修推進財団が実施する理学療法士・作業療法士・ 言語聴覚士養成施設教員等講習会
・ 一般社団法人日本作業療法士協会が実施する臨床実習指導者中級・上級研修

3.専任教員の要件について

(1)教員の質を確保するため、専任教員の要件を以下のとおり見直してはどうか。 また、専任教員養成講習会(仮称)については、現在行われている「理学療法士・作業 療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会」を参考に基準を定めてはどうか。

(現 行)
理学療法士・作業療法士である専任教員は、免許を受けた後5年以上理学療法・作業療 法士に関する業務に従事した者であること。
(改正イメージ)
理学療法士・作業療法士である専任教員は、次のいずれにも該当する者であること。 ただし、理学療法士又は作業療法士として3年以上業務に従事した者で、大学において教育の本質・目的、心身の発達と学修の課程、教育の方法・技術及び教科教育法に関する科目のうちから、合計4単位以上(以下「教育に関する科目」という。)を履修して卒業したもの又は大学院において教育に関する科目を履修したものは、これにかかわらず専任教員となることができること。
ア 理学療法士・作業療法士として5年以上業務に従事した者
イ 厚生労働省が指定した専任教員養成講習会(仮称)を修了した者、又は理学療法士の教育に関し、これと同等以上の学識経験を有すると認められる者。

(2)臨床実習の質の向上を図るため、以下のとおり臨床実習の進捗管理等を行う専任の実習調整者を配置することとしてはどうか。

(改正イメージ)
養成施設は、臨床実習全体の計画の作成、実習施設との調整、臨床実習の進捗管理等を行う者(実習調整者)として、専任教員から1名以上配置すること。 (追加)

(3)専任教員の要件を見直すに当たり、大学設置基準第12条を参考に、以下のとおり専任 教員の定義を明確化してはどうか。

(改正イメージ)
・教員は、一つの養成施設の一つの課程に限り専任教員となるものとする。(追加)
・専任教員は、専ら養成施設における養成に従事するものとする。(追加)

(4)専任教員の1人1週間あたりの担当授業時間数を、以下のとおり見直してはどうか。

(現 行)
専任教員の1人1週間あたりの担当授業時間数は過重にならないよう10時間を標準とすること。
(改正イメージ)
専任教員の1人1週間あたりの担当授業時間数は過重にならないよう15時間を標準とすること。

4.その他について

養成施設の質の確保を図るため、以下のとおり第三者による外部評価を義務付けてはどうか。

(改正イメージ)
養成施設は、開設後一定の間隔で教員資格及び教育内容等に関する外部のして、7年以内ごとに第三者による評価を受け、その結果を公表すること。(追加)

5.中長期的な課題について

理学療法士・作業療法士養成の修業年限

6年制で教育を行っている国もあり、4年制にするべきと考える。3年制の施設は ものすごく大変であり、単位数を増やせば3年制の施設は負担になる。今後の在り方を示すべき。4年制の養成については、医療職全体のバランスや役割、他の関連職種に対する影響も見極めて議論する必要がある。
今後の対応(案)として、今回の見直しによる影響等を検証のうえ、医療職全体のバランス等を踏まえて、 検討することとしてはどうか。

【参考】
資料1.第1回検討会の主な意見(PDF:81.7KB)
資料2.公益社団法人日本理学療法士協会提案(PDF:710KB)
資料3.一般社団法人日本作業療法士協会提案(PDF:985KB)
資料4.第1回検討会を踏まえたカリキュラム等の改善について(PDF:184KB)