こんにちは、大介です。

今回は理学療法士として働いていてもあまりお目にかからない制度について掘り下げます。

「産科医療補償制度」ご存知でしょうか?
私は知りませんでした。

産科医療補償制度とは?

本制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺のお子様とその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的としています。

この制度ができた背景には、

・世界的に見ても新生児死亡率が低い状況にある。
・産科医療分野は労働環境が過酷である。
・分娩時の医療事故において過失の有無が困難な場合が多いため医事紛争が多い。
・分娩の扱いを取りやめる医療施設が多く、産科医療の提供が十分でない地域が生じていた。
・産科医になることを希望する若手医師が減少している。

上記のような課題を解決し、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、産科医療補償制度の早期創設が求められ、2009年1月1日より公益財団法人日本医療機能評価機構が運営組織となり、医療分野における我が国初の無過失補償制度として産科医療補償制度が開始されました。

だ、そうです。

この制度のポイントは、
・分娩に関連して発症した重度脳性麻痺のお子様とその家族の経済的負担を速やかに補償する
・脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供する

です。

制度創設の目的

①分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児とその家族の経済的負担を速やかに補償します。
②脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供します。
③これらにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ります。

この制度の基本的な考え方は、

・妊産婦の皆さまが安心して産科医療を受けられるように、病院、診療所や助産所といった分娩を取り扱う機関が加入する制度です。
・分娩機関に過失がなくても補償金が支払われる、画期的な制度です。
・重度脳性麻痺の発症原因を分析し、再発防止に資する情報を提供します。
・公正で中立的な第三者機関として日本医療機能評価機構が運営にあたります。

です。

この方がわかりやすいですね。

制度の仕組み

運営組織は「公益財団法人日本医療機能評価機構」だそうです。

公益財団法人日本医療機能評価機構の事業概要

・病院機能評価事業
・認定病院患者安全推進事業
・産科医療補償制度運営事業
・EBM医療情報事業(Minds)
・医療事故情報収集等事業
・薬局ヒヤリ・ハット、事例収集・分析事業

公益財団法人日本医療機能評価機構

公益財団法人日本医療機能評価機構が何をしているかと言うと、
・分娩機関の制度加入手続
・保険加入手続
・掛金の集金
・補償対象の認定
・長期の補償金支払手続(保険金請求手続)
・原因分析および再発防止等

掛け金の集金も行うんですね。
なかなかの業務量だと思います。が、素晴らしく優秀なスタッフが在籍しているのでしょう。

補償内容と掛金

補償対象

2015年1月1日以降に出生したお子様の場合

①出生体重1,400g以上かつ在胎週数32週以上、または在胎週数28週以上で所定の要件
②先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺
③身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺

補償金額
補償内容支払回数補償金額
準備一時金(看護・介護を行うための基盤整備のための資金)1回600万円
補償分割金(看護・介護費用として毎年定期的に支給)20回120万円/年
掛金

2015年1月1日以降に出生したお子様の場合
産科医療補償制度専用Webシステムを
利用する場合 ⇒16,000円/1分娩(胎児)
利用しない場合⇒16,500円/1分娩(胎児)

産科医療補償制度専用Webシステムというのは分娩機関所有のパソコンから、妊産婦情報の登録、更新、確認等の加入・事務手続きを行うことができるシステムです。

この制度は分娩機関が加入する制度です。なので、補償に向けた支払いをするのも分娩機関。
加入機関で出産(22週以降の分娩)した場合、保険者から支給される出産育児一時金等に加算されます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産された時に協会けんぽヘ申請されると1児につき42万円が支給されます。(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)となります。)

全国健康保険協会

原因分析・再発防止について

原因分析

補償対象と認定されると、分娩機関等から提出された診療録・助産録、検査データ、診療体制等に関する情報、および児・保護者からの情報等に基づいて医学的観点から原因分析が行われます。脳性麻痺発症の原因、診療行為等の医学的評価、再発防止の提言などについて取りまとめた原因分析報告書が保護者と分娩機関へ送付されます。また、本制度の透明性を高めることと、再発防止や産科医療の質の向上を図ることを目的として、原因分析報告書の「要約版」が公表されます。

なお、原因分析は医学的な観点から行われ、分娩機関の過失の有無を判断するものではありませんが、一般的な医療から著しくかけ離れていることが明らかで、かつ、産科医療として極めて悪質であることが明らかなケースについては、医療訴訟に精通した弁護士等から構成する調整検討委員会に諮って、法律的な観点から審議します。

再発防止

原因分析された個々の事例情報を体系的に整理・蓄積し、集積された複数の事例の分析から見えてきた再発防止策等を提言した「再発防止に関する報告書」などを取りまとめます。これらの情報を国民や分娩機関、関係学会・団体、行政機関等に提供することにより、同じような事例の再発防止および産科医療の質の向上を図ります。

 まとめ

産科医療保障制度についてまとめました。
理学療法士として働いていてもなかなかお目にかかることはないと思います。
脳性麻痺児を担当することはあると思います。
ご家族はこのような制度を利用していることを知っているだけで、ご家族との会話がスムーズになるかもしれません。