こんにちは。

だいすけです。
今回も言葉の意味掘り下げです。

今回はヒヤリハット、インシデント、アクシデントの比較です。
医療・介護業界で働いていると、この言葉を聞く機会が多いと思います。

ヒヤリハットとは

危険な目に遭いそうになって、ひやりとしたり、はっとしたりすること。重大な事故に発展したかもしれない危険な出来事

デジタル大辞泉

重大な事故に発展したかもしれない危険な出来事、ということは事故は起きていないということですね。
実際の事例でみるとわかりやすいです。
事例は医療・介護業界に限らず提示します。

事例1:道路貨物運送業
トラックからの荷降ろし準備
配送先工場で鋼材を降ろす前準備として、トラック荷台に上がり、鋼材に掛けていたシートを剥がす作業中、雨で濡れた鋼材の上で足(安全靴)が滑り転倒し、トラック荷台から転落しそうになった。安全帯を着用していたので転落しなかった。

事例2:農業
丸太杭打ち
二人で畑のあぜ道に丸太杭を打ち込む作業中、大ハンマーを振り下ろした時、大ハンマーの頭部が抜けて飛び、丸太杭を支えていた作業者に激突するところだった。

事例3:病院
リハビリテーション室
病院内のリハビリテーション室で患者の機能訓練を監視していた理学療法士が、ベッドに立てかけていた杖に接触し杖を倒してしまった。
倒れた杖が患者の足元に倒れ、患者がつまづきそうになった。

事例3は私の体験談です。
どれも重大な事故に発展した可能性はありますが、実際には事故には至っていません。

インシデントとは

インシデント(incident)
中断・阻害,損失,緊急事態又は危機になり得る又はそれらを引き起こし得る状況

ISO22300

日常診療の場で、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見されたもの、あるいは誤った医療行為などが実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすに至らなかったもの

厚生労働省

ん?ヒヤリハットと何が違うの?って思いますね。
この厚生労働省の資料の中では、ヒヤリハットとインシデントは同義として扱われています。

アクシデントとは

事故(アクシデント)は、インシデントに適切な処理が行われずに傷害を発生したものをいう

リスク管理 経済産業省

これはわかりやすいですね。
事故です。

ヒヤリハットとインシデントは同じ?

上記の通り、厚生労働省の資料ではヒヤリハットとインシデントは同義です。
その他にもヒヤリハット=インシデントとしている情報が多いようです。
それらを否定するつもりは全くありませんが、果たして、実際の現場、職場内でも同義として扱っても良いのでしょうか?

ヒヤリハットは当事者が「ヒヤッ」としたり「ハッ」としたりすることですね。
ヒヤリハットに重要なことは当事者の「ヒヤッ」「ハッ」といった主観です。

インシデントは患者に影響が及ばなかった事件ですね。
インシデント=事件には「ヒヤッ」としたり「ハッ」としたりという当事者の経験・主観は関係ありません。

なにが言いたいかと言うと、「ヒヤッ」「ハッ」の主観がないインシデント=事件は非常に危険だということです。
つまり、ヒヤリハットとインシデントを別物として扱わないと、アクシデントを防ぐことは出来ない、ということです。
もっというと、現場で働く職員の「ヒヤッ」「ハッ」の主観を重要視し、その経験を資料として蓄積していけばインシデントやアクシデントを防ぐ一助になるということです。

なので、ヒヤリハットとインシデントは別物として扱ったほうが良いです。

例えば、医療の現場で医師の指示とは異なる薬剤を、担当看護師が患者に投与し、結果患者は死亡した、という事故があったとします。
この事故、担当看護師は医師の指示と異なっていたことを知るのは、患者が死亡した後です。

この一連の事故が起きた現場にもっとヒヤリハットの重要性を示すルールがあれば、、、。
もしかしたら、投与する前に担当看護師は気がつくことが出来たかもしれません。
投与したあとでも他の看護師が指示と異なる薬剤が投与されていることに気が付き、インシデントで済んでいた可能性もあります。

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則とは
1930年代、アメリカのハインリッヒ氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれる。 これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則。

コトバンク

これも有名な法則ですね。
この法則も300件のインシデント(ヒヤリハット)の重要性を説いています。

まとめ

ヒヤリハット、インシデント、アクシデントの違いについて比較しました。

私がこの投稿で言いたいことは、もちろん言葉の持つ意味の重要性ですが、それとともに、「現場で働く職員の主観の蓄積」も非常に重要だと考えます。ハインリッヒの法則にあるように1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故、そして300件のインシデントが存在します。その300件のインシデントには当事者の主観が無いものもあると思いますが、インシデントに至らない現場で働く職員の主観を察知できれば、さらに事故を未然に防ぐ事ができます。

人間ですからミスは無くなることはないでしょう。
ですが、人間だからこそ、その知識と技術を用いて、人間特有の「主観的な感覚」を蓄積する事ができます。

その蓄積は企業にとって大きな財産になります。