前回の続きで平成30年度介護保険改定訪問看護の解説と感想です。

④訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し

概要
○ 訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下、理学療法士等という。)による 訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけのものであるが、看護職員と理学療法士等の連携が十分でない場合がある ことを踏まえ、評価の見直しを行うこととする。

単位数
○理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の場合
<現行>
302単位/回
※1日3回以上の場合は90/100

<改定後>
要介護者 296単位/回
要支援者 286単位/回
※1日3回以上の場合は90/100(変更なし)

算定要件等
○以下の内容等を通知に記載する。 ア 理学療法士等が訪問看護を提供している利用者については、利用者の状況や実施した看護(看護業務の一環 としてのリハビリテーションを含む)の情報を看護職員と理学療法士等が共有するとともに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書について、看護職員と理学療法士等が連携し作成することとする。 イ 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成にあたり、訪問看護サービスの利用開始時や利用者の状態の変化等に合わせた定期的な看護職員による訪問により、利用者の状態について適切に評価を行うとともに、理学療法士等による訪問看護はその訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合 に、看護職員の代わりにさせる訪問であること等を利用者等に説明し、同意を得ることとする。

平成30年度の改定で、大きく変わるのではと予想されていたのがこの訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問です。単位数は介護保険で302単位→296単位で2%程度の減算です。要支援では302単位→286単位と5.5%の減算となります。要支援の方が多いステーションでは非常に大きな打撃と言えるでしょう。介護保険事業の多くが利益率5%未満の事業ですので、今回の改定で経営が難しくなるステーションも出てくるはずです。

訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成にあたり、訪問看護サービスの利用開始時や利用者の状態の変化等に合わせた定期的な看護職員による訪問

また、この文言をどのように解釈するかで今後の訪問看護からの理学療法士等の訪問は大きく変わります。『定期的な訪問=毎月』となると理学療法士等を多く抱えていて、看護師が少ない事業所は4月以降訪問ができない事態となってしまいます。利用開始時とケアプランの変更時のみの看護師の訪問が必要となれば、多くのステーションで対応は可能でしょう。

⑤報酬体系の見直し

概要
要支援者と要介護者に対する訪問看護については、現在、同一の評価となっているが、両者のサービスの提供 内容等を踏まえ、基本サービス費に一定の差を設けることとする。

単位数

○指定訪問看護ステーションの場合

<現行>
・20分未満 310単位
・30分未満 463単位
・30分以上1時間未満 814単位
・1時間以上1時間30分未満 1117単位
・理学療法士等20分 302単位
<改定案>
・20分未満 訪問看護 311単位 予防訪問看護 300単位
・30分未満 訪問看護 467単位 予防訪問看護 448単位
・30分以上1時間未満 訪問看護 816単位 予防訪問看護 787単位
・1時間以上1位時間30分未満 訪問看護 1118単位 予防訪問看護 1080単位
・理学療法士等 20分 訪問看護 296単位 予防訪問看護 286単位

予防訪問看護では医療的な処置等が少ないという統計が出ています。そのため、予防訪問看護では訪問看護ほどお金は払えないようです。人件費は変わらないので、経営的には大打撃ですね。まぁ、分かっていることですが予防訪問看護ではなく、訪問看護の利用者を増やすしかありません。訪問看護ステーションは重症度、介護度を高い方を見なければいけません。つまり、24時間体制ができないステーションにとって厳しい時代になるとも言えます。訪問看護の単位数が1~2単位増えていますが、、、これで報酬が上がったとも言われても実感が無いどころかマイナス改定としか思えないですよね。

⑥同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬

概要
同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬について以下の見直しを行う。(訪問介護と同様の見直し)
ア 訪問看護のサービス提供については、以下に該当する場合に10%減算とされているが、建物の範囲等を見直し、 いずれの場合も有料老人ホーム等(※)以外の建物も対象とする。 ⅰ 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(有料老人ホーム等(※)に限る)に居住する者 ⅱ 上記以外の範囲に所在する建物(有料老人ホーム等(※)に限る)に居住する者(当該建物に居住する利用者 の人数が1月あたり20 人以上の場合)
イ またⅰについて、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物のうち、当該建物に居住する利用者 の人数が1月あたり50 人以上の場合は、減算幅を見直す。 ※ 養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
ウ 上記ア又はイによる減算を受けている者と、当該減算を受けていない者との公平性の観点から、上記ア又はイ による減算を受けている者の区分支給限度基準額を計算する際には、減算前の単位数を用いることとする。

単位数、算定要件等
<現行>
10%減算
①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建 物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、 サービス付き高齢者向け住宅に限る)に居住する者
②上記以外の範囲に所在する建物(建物の定義は同上) に居住する者 (当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以 上の場合)
<改定後>
①・③10% 減算 ②15%減算
①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建 物に居住する者(②に該当する場合を除く。)
②上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数 が1月あたり50人以上の場合
③上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者 (当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以 上の場合)

平成30年度では介護報酬、診療報酬共に同一建物等に居住者に対してのサービスや医療提供に対して大幅な見直しがなされています。とは言え、経営目線で言えばこの程度の減算は移動時間などを考えれば、まだまだ問題の無い範囲です。今後更なる減算へとなる可能性があります。この数年有料老人ホームと訪問看護ステーションを同時に開設する法人が新しいビジネスモデルとして注目されていますが、このような減算をきちんと視野に入れた収支予測を立てておかなければ、継続した経営が難しいでしょう。

⑦その他

概要
○ 現在、事務連絡において、介護保険の訪問看護と医療保険の精神科訪問看護の同一日等の併算ができない取扱いが定められているが、介護報酬告示においても併算できないことを明確化することとする。

算定要件等
○ 報酬告示に、精神科訪問看護指示に基づき精神科訪問看護を受けている期間については訪問看護費は算定しない旨の文言を追記する。

参考
事務連絡 疑義解釈資料の送付について(その4)厚生労働省保険局医療課 平成28 年6月14 日 (問3)訪問看護療養費を算定した月及び日について、精神科訪問看護・指導料は一部を除き算定できないとされた が、精神疾患と精神疾患以外の疾患を有する要介護者は、医療保険の精神障害を有する者に対する訪問看護(精 神科訪問看護・指導料又は精神科訪問看護基本療養費)と、介護保険による訪問看護とを同一日又は同一月に受 けることができるか。 (答)精神疾患とそれ以外の疾患とを併せて訪問看護を受ける利用者については、医療保険の精神障害を有する者に 対する訪問看護(精神科訪問看護・指導料又は精神科訪問看護基本療養費)(以下「精神科訪問看護」とい う。)を算定することができる。同利用者が、介護保険で訪問看護費を算定する場合は、主として精神疾患(認 知症を除く)に対する訪問看護が行われる利用者でないことから、医療保険の精神科訪問看護を算定するとこは できない。すなわち、同一日に医療保険と介護保険とを算定することはできない。 なお、月の途中で利用者の状態が変化したことにより、医療保険の精神科訪問看護から介護保険の訪問看護に変更 することは可能であるが、こうした事情によらず恣意的に医療保険と介護保険の訪問看護を変更することはでき ないものであり、例えば数日単位で医療保険と介護保険の訪問看護を交互に利用するといったことは認められな い。

この件に関してはQAみたいなものですね。

前回の記事で触れたのですが、不必要な緊急時訪問看護加算について書きます。
訪問看護には看護体制強化加算というものがあります。算定要件の中に「緊急時訪問看護加算の算定者割合50%以上」というものがあります。訪問看護を提供する人の中には家族の協力などもあり、緊急時訪問看護加算を算定しない利用者も多く存在します。しかし、緊急時訪問看護加算の算定割合を求める加算があるがために、無理に緊急時訪問看護加算の契約を結ぶ事業所があるように感じます。本当に必要な人に対して緊急時訪問看護加算を算定している事業者を評価して欲しいものです。