こんにちは、だいすけです。

この記事が掲載されるのが12月29日なので、2017年最後の記事ということになります。

この1年間で様々な記事を書いてきました。ほとんどが定義の比較や法律の解釈などです。
中には多くの方に読んで頂いている記事もありまして、筆者としてとても満足しています。
どうせ書くなら多くの方々に読んでいただきたい、などと欲が出てきてしまいますね。
そして、私が書いた記事を読んだ方がどのような感想を持ったか、是非聞いてみたいとも思っています。

2017年最後の記事、なにを書こうかといろいろ考えました。
最後なので今までよりも壮大な、この業界を揺るがすような、そんな「一石を投じる」みたいな記事、書きたいなと考えました。

でも、、、「一石を投じる」なんてなかなか難しいことですよね。
いつかそんな記事が書けたらいいな〜と思います。
いい意味での「一石を投じる」です。
炎上とかそういった類ではなく!!

、、、と、言うことで2017年最後の記事は、いつも通り言葉の定義について書きます。
今回は「ノーマライゼーション」です。

ノーマライゼーションって、なに?

ノーマライズだったら聞いたことある!!って方もいるかもしれませんね。
音楽ファイルをいじったり、自分で楽器の録音をしたりする方はなじみがあるかもしれません。
かく言う私も過去に楽器の録音にハマっていた時期がありました。

ノーマライズ→均一化、正規化

ですね。
社会福祉用語だと、

障害者(広くは社会的マイノリティも含む)が一般市民と同様の普通(ノーマル)の生活・権利などが保障されるように環境整備を目指す理念です。

東北福祉大学HP

どうでしょう。なんとなくイメージが沸いたでしょうか?

もう少し掘り下げてみましょう。

ノーマライゼーションの歴史(デンマーク編)

ノーマライゼーションという言葉が生まれたのは北欧・デンマークです。知的障害者の親の会による運動から生まれたそうです。
ニルス・エリク・バンク-ミケルセン(社会省担当官)という方が、知的障害者を収容した大型施設の生活環境に疑問を持つようになります。
知的障害者収容施設=ナチスの強制収容所というイメージを持ったのですね。

そうした経緯からバンク-ミケルセンは親の会とともに知的障害者の生活条件の改善のための法改正に乗り出すのです。
そして、ノーマライゼーションという言葉を盛り込んだ「1959法」が生まれます。

デンマークで生まれたノーマライゼーションの流れは、1960年代にスウェーデンなど北欧諸国にも広がっていきます。

ノーマライゼーションの歴史(スウェーデン編)

スウェーデンではベンクト・ニィリエという方が活躍します。ニィリエはノーマライゼーションの運動に携わります。
そして、ノーマライゼーションの理念を整理・成文化し、原理として定義づけました。

ノーマライゼーションの原理の定義(ベンクト・ニィリエ)
「社会の主流となっている規範や形態にできるだけ近い,日常生活の条件を知的障害者が得られるようにすること(1969年)」

ノーマライゼーションの8つの原理(ベンクト・ニィリエ)
・1日のノーマルなリズム
・1週間のノーマルなリズム
・1年間のノーマルなリズム
・ライフサイクルでのノーマルな経験
・ノーマルな要求の尊重
・異性との生活
・ノーマルな生活水準
・ノーマルな環境水準

ニィリエはこれら8つの原理を実現しなければならないと位置づけ、ノーマライゼーションをアメリカにも紹介しました。

ノーマライゼーションの歴史(アメリカ編)

アメリカではヴォルフ・ヴォルフェンスベルガーという方が活躍します。
ヴォルフェンスベルガーは、ノーマライゼーションをアメリカやカナダで紹介しました。

ノーマライゼーションの目指すべきこと(ヴォルフェンスベルガー)
障害者などの社会的マイノリティが保護や哀れみの対象として一般市民から下に見られるのではなく、社会的意識の面で一般市民と対等な立場とする事

ソーシャル ロール バロリゼーション(Social Role Valorization:社会的役割の実践)
ノーマライゼーションの原理にかわる新しい学術用語(1983年)
社会的に低い役割が与えられている障害者などの社会的マイノリティに対して、高い社会的役割を与え、なおかつそれを維持するように能力を高めるように促すことで、社会的意識の改善を目指す概念

北欧・デンマークで生まれたノーマライゼーションはアメリカにまで伝わり、革新的な飛躍を遂げます。

北欧のノーマラーゼーションとヴォルフェンスベルガーの目指すノーマライゼーションの特徴を比較しましょう。

北欧のノーマライゼーションヴォルフェンスベルガーの目指すノーマライゼーション
アブノーマルな個人への改善というよりはアブノーマルな生活条件や社会環境の改善を重視する・個人の能力を高めることや社会的イメージの向上を重視する
・通常に近い行動や外観をとるなど文化的にアブノーマルな個人の行動・特性についてノーマルになるよう働きかけることも重要視される

これ、、、同じ言葉の特徴ですか?別の言葉ですよね??

歴史的な背景を追っていけば北欧とアメリカのノーマライゼーションの特徴の違いについて納得できますが、歴史的背景を全く知らなければ別の言葉の定義・特徴と思ってしまっても仕方ないかもしれません。

ヴォルフェンスベルガーの目指すノーマライゼーションってリハビリテーションに近い物があるように感じます。

ノーマライゼーションの国際的な取り組み
1971年「知的障害者の権利宣言」が国連で採択
1975年「障害者の権利宣言」が採択され、対象を障害者全般にも拡大した
1981年「国際障害者年」ノーマライゼーションの実現のために「完全参加と平等」をテーマに国連で定められた
1982年「障害者に関する世界行動計画」が採択
1990年「ADA法(Americans with Disabilities Act:障害をもつアメリカ人法)」世界初の障害者差別禁止法が公布
1993年「障害者の機会均等化のための標準規則」が国連で採択
2006年「障害者権利条約」が国連で採択

まとめ

今回はノーマライゼーションという言葉の定義や歴史的背景を説明しました。
捉え方が難しく感じてしまうのは、人によって解釈が異なるからでしょうか。
バリアフリーやユニバーサルデザインなんて言葉もありますもんね。似てますよね。

先程も述べましたが、ヴォルフェンスベルガーのノーマライゼーションはリハビリテーションに似ています。これは、「当事者自身の能力強化への働きかけ」にも焦点が向けられるからでしょう。

当事者自身の能力強化に焦点を当てる場合はリハビリテーションという言葉を用いたほうがスムーズに行くことが多いと思います。
ノーマライゼーションは環境整備に焦点を当てたときに使ったほうが良いでしょう。

さいごに

訪問看護ステーションから理学療法士等がご利用者宅に訪問する場合、リハビリテーションが主な目的となります。
リハビリテーション=全人的復権、です。
そして、効果のない機能訓練を漫然と行っている現状が問題視されています。

我々、療法士がご利用者の能力向上や家庭内・社会への参加を目指すとき、その手段として機能訓練しか存在しない、わけではありません。
もちろん我々は技術職ですから、技術や知識を高めることは非常に大切です。

ですが、リハビリテーションという大きな枠組みの中で機能訓練は手段の一つに過ぎません。
機能訓練ではなく、環境調整で自立を果たすことも出来るでしょう。

そういった、柔軟な対応がいまの療法士には求められていると思います。
機能訓練は手段のひとつとして捉え、参加レベルへのアプローチにはノーマラーゼーションの考えや社会資源の周知なども重要です。
そして、同居するご家族の生活をも考えられたとき療法士が「リハビリテーション専門職」と名乗ることに私は全く問題を感じません。
リハビリテーション専門職に求められていることは非常に多く、そして奥深いものだと思います。

リハビリテーション専門職になにが出来るのか、医師や看護師、そしてご家族やご本人もきちんと認識する必要があります。
そのためには、我々療法士が正しくリハビリテーションやノーマライゼーションなど医療・介護・社会福祉に関わる言葉を正しく理解し、周知していくことが重要です。

2017年最後の記事、読んで頂いてありがとうございます。
2018年もよろしくお願いいたします。