みなさま、こんにちは。福井です。

2015年4月の介護報酬改定から1年半が経過しました。人員や設備、運営の基準変更により、経営状況の厳しい介護保険事業者が増えていると聞きますが、みなさまの事業所はどうでしょうか? 今回は「東京商工リサーチ」が介護事業を運営している企業倒産状況(2016年1月-8月の8ヶ月の期間)について統計を出されていましたので、その内容について触れてみたいと思います。

倒産が過去最多記録を更新。企業の半数以上が赤字経営!

東京商工リサーチより、「老人福祉・介護事業」を運営している企業の倒産が計77件(2016年1~8月)に達したとの統計が出ており、この数字は過去最多だった昨年1年間(1~12月)の76件をすでに上回っているとのこと。現在、月平均8.5件のペースで倒産しており、このままの水準で推移すると年間100件程度まで増えそうな勢いです。しかし全国の老人福祉・介護事業を運営する企業3,889社の2016年3月の決算では「増収増益30.8%」「減収減益30.8%」「減益52%」とあり、そういったデータを合わせ読むと、企業の倒産率は更に増していき100件程度では収まらないことが予測されます。
※老人福祉・介護事業…訪問介護事業、通所・短期入所事業、有料老人ホームなどを含む

企業倒産の中心は小規模事業者が7割を占める

負債総額は82億9,600万円(前年50億9,600万円,35.0%増)と前年同期を上回っています。負債総額5,000万円未満は53件(前年38件)と大幅に増えており、小規模事業所の倒産が全体の7割を占める結果となりました。より安定的な収益が見込まれる大規模事業者による運営を国は推進していますが、どこの事業所も人員確保が課題に挙げられており、現実的には4人以下の小規模事業者がほとんどのようです。原因別では、販売不振が51件(前年同期25件)で104%増と、同事業者との競争の激しさを物語っています。また異業種からの参入失敗が6件、過少資本による失敗が3件と、事前準備や事業計画の甘い小規模事業所が業績を挙げられずに倒産したケースも少なからずあったようです。

【コメント】

これらのデータを見ると「経営状況の厳しい介護保険事業者が増えている」というのも頷けます。2025年には団塊の世代806万人が後期高齢者になるため、「重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、医療・介護などが一体的に提供される地域の構築」を国は掲げていますが、こんなにも多くの事業者が倒産し、赤字経営となっている状況にありながら、本当に実現することは可能なのでしょうか?今までにも無茶と思える方針が出されていますが、 われわれ介護事業者にとって重要なことは、国の推進する地域を構築することではなく、国の計画にうまく沿いながらも業績を維持していけるかどうかになってきているのではないでしょうか。不本意ながら、介護事業を運営している者であれば必要な考え方だと思います。「この超高齢化社会を良くしていきたいという強い思い」があっても赤字経営で会社が倒産してしまってはどうしようもありません。「患者様のためになんでもします。」では今の時代生き残っていくことはできないのです。国の計画に沿いながら、収益モデルを構築できた企業だけが、地域に貢献できる企業となり得るのではないでしょうか。とは言え、医療福祉をお金儲けの目的にしている企業よりも、この超高齢化社会を良くしていきたいという熱い思いを持った企業に、特に頑張ってもらいたいものです。