作業療法士の河原です。理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST)として働くにあたって、最初の就職先というのはとても大切です。今回は①回復期リハビリテーション病院②訪問リハビリ③クリニックや医院④老健やデイケアについてそれぞれのメリットデメリットについて考えて見ようと思います。

 メリットデメリット
回復期リハビリテーション病院療法士が多い
勉強・研究のしやすい環境
患者さんに対してリハビリの時間をかけられる
他職種との連携がとりやすい
給与が安い
土日祝日も仕事がある
人間関係が複雑(なこともある)
キャリアアップが難しい
訪問リハビリ生活に直接アプローチできる
給与が高い
キャリアアップできる可能性が高い
指導・教育が受けられにくい
福利厚生が十分でないことがある
制度報酬改定の影響を受けやすい
クリニック医師との関係性が近い(キャリアアップの可能性あり)
同じ疾患の方をたくさん治療できる
お休みが定期的で多い
介護サービスを提供している施設もある
給与はやや高い
様々な疾患をみることが難しい
教育制度が不十分な勤務地もある
1日に治療する人数が多い
勤務時間が変則的
患者さんが急に来なくなることもある
老健・デイケア介護職の方との関わりが多い
在宅での課題にも取り組める
キャリアアップの可能性あり
様々な疾患をみることができる
勉強、教育の機会が少ない
対象者の方にかけるリハビリ時間が少ない
1日にたくさんの方をみなければならない在宅に関わるが、訪問リハビリ程じっくりみることはできない

①回復期リハビリテーション病院

現在学生の方で最初に働く職場として最も多いのがこの回復期リハ病院だと思います。急性期から在宅に帰るまでの期間に集中的にリハビリを行う回復期リハ病棟は療法士が活躍するにはもってこいの場所といえます。私自身も専門学校卒業して最初に働いた職場が回復期病棟のある病院でした。

<回復期リハビリ病院で働くメリット>

なんといっても多くの療法士がいて、多くの情報があり、相談できる先輩も多いです。そのためこれから勉強をしようと考えている学生が受動的にも、能動的にも勉強する環境としては最適です。病院によっては「ボバース理論」「AKA」「PNF」「認知運動療法」「CI療法」など、理論について勉強会や研究をしている場所もあります。最近では、HONDAの歩行アシストロボットなど最新医療機器を導入している病院も増えています。

一人の患者さんに対して多くのリハビリ時間を提供できるのも大きなメリットです。回復期リハ病棟では、毎日120分~180分のリハビリが提供できます。他の施設や在宅では週に120分以下のリハビリ時間しか提供できないことを考えると、一人一人に長い時間をかけられるのは療法士として嬉しいことです。

最後に、医師、看護師、薬剤師、検査技師、社会福祉士など多くの職種が働いており、それぞれの職種と密接に関われるのも回復期リハ病棟の良い点といえます。各職種に直接相談できることはもちろん今後の社会人としての人脈を増やすうえでも、多くの職種と関われることは大きなメリットでしょう。

補足ですが、回復期リハ病棟で出会った療法士同士や、療法士と看護師さんで結婚する方も多いですね。

<回復期リハビリ病院で働くデメリット>

回復期リハ病棟で働くデメリットとして真っ先に思いつくのは給与が安いことです。回復期リハ病棟では額面20万円前後の病院も多くあります。りょほ牛の中には、家族を養っている方、奨学金を支払っている方様々な方がいらっしゃいます。手取り18万円前後では厳しいと感じる方も多いでしょう。

休みに関しては、多くの回復期リハ病棟が365日でリハビリを提供してますので、祝日やお正月でも順番で出勤しなければなりません。療法士の中にはアルバイトをしながら整形の足しにしている方もいますが、365日の病院では定期的に同じ曜日に休みを取るのが難しいこともありアルバイトができないということもあります。

多くの療法士がいるということに対して気を遣う方もいらっしゃるようで、少ない人数の中で人間関係を築いていきたいと思っている方には多くの療法士の中では働きにくいかもしれません。

人数が多いという事はキャリアアップがしにくいとも言えます。将来的にその職場で管理職になろうと思うと、その候補者が多ければ多いほど難しくなります。また、リハビリ科の部長や課長などの通常ポストは1つですから、誰かがやめない限りはそのポストは空きません。そういった面でも回復期リハ病棟でのキャリアップは難しいと言えます。

②訪問リハビリ

私が作業療法士として学校を卒業した10年以上前は、最初の就職先として訪問分野を選ぶ方はほとんどいませんでした。しかし、最近では初めの就職先として訪問分野を選ぶ方も増えていますし、学生と話をする中で「訪問分野に興味があります。最初の就職先として訪問は難しいですか?」など質問をされることも増えてきました。

<訪問リハビリで働くメリット>

療法士として、自宅で生活している人に対してその生活の場でリハビリを提供できるというのは、病院や施設でリハビリを提供するのはまた違ったやりがいがあります。利用者さんが困っている事に直接的にアプローチでき、その場で解決できるのも訪問ならではのやりがいと言えます。

給与面で言うと、病院や施設に比べると訪問リハビリは給与水準が高いです。療法士の平均収入が350万円程度と言われる時代に、年収400万円以上、500万円以上という事業所も少なくありません。

回復期リハ病棟ではキャリアアップは難しいと書きましたが、訪問分野では逆に職員の数が少ない場所も多くキャリアアップのチャンスは多いです。私の知っている方では、療法士としての経験年数が2年ほどで訪問分野に転職し、その後2年ほどで会社の信頼を勝ち取り、訪問分野の責任者のような役割を担っている方もいます。

<訪問リハビリで働くデメリット>

最初の就職先という意味では、訪問分野の一番のデメリットは教育、指導が受けにくいという点が挙げられます。最近では訪問分野でも教育に力を入れている事業所も増えてきています。しかし、病院や施設のように常に先輩療法士の目が届く職場に比べると、その機会が少ないと言えます。そういった点からそもそも新卒の方を採用していないステーションも多いです。

福利厚生面でも病院に比べると劣っている事業所は多いです。昇給が無い、退職金が無いなど福利厚生面で病院に比べて劣っている事業所があります。当然事業所によって福利厚生は異なります。訪問分野で働こうと考えている方は、福利厚生面についてはきちんと確認して就職しましょう。

最後に、これが最も大きいデメリットと言えますが、訪問分野で特に事業所規模の小さいところでは制度・報酬の改定の影響を大きく受けます。最悪の場合事業所事態が無くなってしまうなんてことも考えられます。当然大きな病院であってもその可能性は0ではないのですが、事業所規模が小さいほうが制度・報酬の影響は大きいと言えるでしょう。

クリニック

クリニックで働く療法士と言えば、整形外科で働くことをイメージされる方も多いと思います。近年介護保険を持っている方への報酬の低下等外来リハビリの規模を縮小するなどしているクリニックも増えてきています。その代わりに、訪問リハビリ等介護保険分野に力を入れてきているクリニックも増えてきています。先ほど訪問分野については書きましたので、訪問分野以外でのクリニックについて書いていきます。

<クリニックで働くメリット>

クリニックで働く療法士にとってのメリットとして、医師との距離が近いことが挙げられます。小さなクリニックであれば、医師1人、療法士1人なんてところもあります。その場合当然医師と療法士の関係性は近いものとなり、医師の知っている知識を教えてもらう機会も多くなります。また、関係性が近いということは医師が療法士に経営に関しても相談し合いながら運営しているクリニックもあります。経営の相談にのるようにまでなればその療法士は必然的にクリニックのナンバー2のような存在になります。

クリニックによって医師の得意分野があり、特定の患者さんを多くみることができます。スポーツ選手や、膝、肩などそこで務める医師の得意分野によって術後の患者さんや特定の疾患のスペシャリストになれる可能性があります。

休みに関しては、土、日、祝日の休みがあったり、夏休みやお正月休みが長いのもクリニックの特徴と言えます。

先に書いたように、クリニックでは訪問リハビリやデイケア等介護保険分野の事業を展開している施設も増えてきています。医療保険分野で働きながら、より広い分野の経験ができる可能性もありますので、就職先を探す一つのポイントとするといいでしょう。

<クリニックで働くデメリット>

小規模のクリニックでは、訪問分野と同じように教育制度が十分に整っていない施設もあります。クリニックによって異なりますので、入職前には勉強会の有無や、教育制度がどのようになっているか確認しておきましょう。

クリニックは、1単位ごとでリハビリを実施するので1日にみる患者さんが非常に多いことがあります。働く場所によっては20人以上を治療することもあるので、体力的に厳しいと感じる方もいます。

休みは多いのですが、勤務時間が変則的なことが多いのもクリニックの特徴です。9:00~12:30まで勤務12:30~17:00休憩17:00~21:00勤務というクリニックもあります。そのような勤務形態では、どうしても家に帰る時間は遅くなってしまいます。

最後にこれはデメリットと言えるかわかりませんが、、、患者さんが急に来なくなることがあっても理由が分からないことが多々あります。入院中のかたや、ケアマネさんがいる方であれば、サービスが中止になれば何かしら情報をいただけますが、外来の方であればクリニックに来なくなってしまえば、何があったのかわかりません。クリニックで働いている方の中には、そういったことが気になる方もいらっしゃるようです。

<老健・デイケア>

老健やデイケアで働く療法士は多く、施設内での療法士の地位も確立されていることも多いです。リハビリテーションの提供場所が、医療保険から介護保険へという流れが今後も予想されますので、老健やデイケアでの療法士の活躍は今後も期待されます。

<老健・デイケアで働くメリット>

病院や訪問に比べると、介護職の方との関わりが多く一緒に協力してイベントごとを実施することもあります。リハビリにおいても、集団での関わり等個別での関わりとはまた違った療法士の役割が求められることがあります。

デイケアによっては、療法士が自宅訪問を定期的に行っている事業所もあり、病院に比べると実際に住む環境により近い環境で課題にアプローチできるといえます。老健では在宅復帰を目的に入所されている方が多いので、回復期リハ病棟と同じような目的で関わることが可能です。

キャリアアップに関しては病院などに比べると可能性が高いです。療法士の人数は少ないことが多いの、療法士の長としてのチャンスもありますし、施設の長としてキャリアアップされている療法士の方もいらっしゃいます。

<老健・デイケアで働くデメリット>

療法士が少ないのはクリニックと同様なので、勉強をする、先輩療法士に教えてもらうという意味では回復期リハ病棟に比べるとその機会が少ないことが多いです。勉強会などへの参加をして、能動的に技術、知識を高めることが大切になってきます。

1人の方にかけられるリハビリの時間は、回復期リハ病棟に比べると短いです。老健・デイケア共に1人の方に提供できるリハビリ時間は1日20分~40分程度でしょう。そのため1日にみる患者さんも必然的に多くなってしまいます。老健は在宅復帰を目的とした施設ですが、回復期リハ病棟ほどリハビリの時間をかけることはできません。限られた時間で課題に向き合わないといけないので、新卒の方はそういった面でも苦労するでしょう。

<まとめ>

今回は最初の就職先について書いてみました。施設によって特徴はあるものの、当然個別の事業所によって条件は様々です。私が書いた特徴が全く当てはまらない事業所も中にはあるでしょう。ですので、必ず就職を考えている病院や施設に関しては十分に調べて、できるだけ事前に施設見学することをおすすめします。皆様が良い就職先に巡り合えることをお祈り申し上げます。