こんにちは、だいすけです。

前回は道路交通法についてのお話をしました。
理学療法士の知らない道交法〜自転車編〜
訪問・通所系のお仕事をされている方は車や自転車を使用することが多いと思いますので、知らなければならない法律ですね。

毎回、「法律」を大きなテーマとしてこのブログを書いていますが、今回は、法律という大きなテーマから少し外れます。

我々理学療法士は対象者の現状を第三者に報告するとき、「屋内での移動はジリツです。」などと伝えることが多いと思います。このときのジリツは、「自律」でしょうか、「自立」でしょうか?みなさんはこの2つの言葉の違いを意識して使っていますか?

今回は、医療・介護業界でよく使われる「自立」と「自律」についてです。

まずは言葉の整理をしてみましょう。

自立とは

他の援助や支配を受けず自分の力で身を立てること。ひとりだち。

広辞苑第5版

(1)他の助けや支配なしに自分一人の力で物事を行うこと。ひとりだち。独立。

大辞林

ポイントは、

・他の援助や支配を受けない。
・自分ひとりの力で。
・ひとりだち。

です。

自律とは

自分で自分の行為を規制すること。

外部からの制御から脱して、自身の立てた規範に従って行動すること。

広辞苑第5版

(1)他からの支配や助力を受けず、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。

大辞林

ポイントは、
・自分で自分を規制すること。

ですね。

自立か、自律か

我々、理学療法士が対象者のリハビリテーションのゴールを考えるとき、基本的動作の「自立」を第1に考える方が多いのではないでしょうか。

例えば、急性期・回復期病院では、看護師やヘルパーの手を借りずにお一人でトイレに行けるようにする歩行能力の「自立」が目標になることが多いですね。病院という環境の中で患者自身が、自分の行動を自分で立てた規律に従う、ということは難しいことだと思います。なので、可能な限り他人の手を借りずにトイレを済ませるということが目標になりますね。
ご自分の病室からリハビリ室まで、車椅子に乗らずに歩いて行きましょう!とか、よく言いませんか?これも自立ですね。
リハビリの時間は、病院の都合、担当療法士の都合によるので、自律とは考えにくいです。

患者が退院しご自分の自宅に戻った後の生活では「自律」が求められると思います。退院後は、自分の行動を自分で立てた規律に従う、ということが求められますよね。朝も夜も、ご自分の決めた時間に寝たり起きたりすれば良いのです。ご自分の決めた時間にご自分の食べたいものを食べ、やりたければ洗濯や掃除をすればいいし、買い物に行けばいいのです。ご自分でご自分の1日の予定を立てられます。病院という誰かに予定を決められた生活とは真逆の生活が始まります。

ですが、中には身体機能に問題があり、人の手を借りなければならない方もいらっしゃいます。掃除をしたいけど、出来ない。料理をしたいけど、出来ない。そういった場合は、なんらかのサービスを受ける必要があります。サービスを受ければ食事に困ることはないし、定期的に掃除もしてもらえる。非常に便利な世の中です。

ですが、こういった生活が「自律」した生活、と言えるでしょうか。そもそも、「自立」もしていない、と私は思います。
(まあ、見方を変えれば自分で選択したサービスを受けている、という点で自律、と捉えられないこともないかな、、、)

在宅で対象者を担当するときには、自立そして、その先にある自律をも考えなければならないと私は考えます。
屋内を一人出歩けるようになりました。で?だからなに?とならないようにする必要あります。

余談ですが、「触らないリハビリ」という言葉を最近よく目にします。「触らないリハビリをしよう!!」と声高に言う人、いますね。これはきっと機能訓練だけではだめですよ、ということが言いたいのだと私は解釈しています(間違ってたらすみません)。ですが、そもそも、リハビリテーションとは全人的復権という意味なので、触るとか触らないとかは本質からズレています。療法士だけがリハビリテーションに携わっているわけではありません。なので療法士以外で「触らないリハビリ」を実践している人はいます。

触るとか触らないとかではなく、リハビリテーションや機能訓練の目的を患者(対象者)と療法士が共通認識しているかの方が重要だと考えます。

退院後もリハビリが必要

7月21日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」で、回復期リハビリテーション病棟からの退院患者について、退院時と退院後1か月のADLを比較すると後者のほうが低下しているという研究結果があり、退院後にもリハビリテーションを提供できる体制の確保に向けた評価を検討すべきではないか、という議論が行われました。

参照:回復期リハ病棟、「退院後のリハビリ提供」の評価を検討—入院医療分科会、メディウォッチ

皆さんはこの研究結果を見てどう考えますか?

「回復期で働いている療法士はなにをしているんだ!!」

「在宅で病院と同じリハビリ求められてもね〜」

私はどちらも思いませんが、どちらの考えも理解できます。
このデータを見て私が思うのは、「役割分担きちんとできているのか??」ということです。
そして、患者(対象者)自身はなにを目標にしているか、です。
もっと言うと、患者(対象者)と担当療法士の両者が今行ってるリハビリテーションや機能訓練の目的を理解・自覚しているか?ということです。
目的というのは、病棟内を一人で歩く、とか、自宅内を一人で歩く、という「自立」を目指しているのか、「自律」を目指しているのか、ということです。先程も述べましたが、共通認識の重要性です。

急性期や回復期の病棟内ではやはり自立が優先されると思います。だって病院ですもん。退院が近づくにつれて、担当療法士は患者(対象者)に指導として退院後は自律していかなければならないことや、在宅での機能訓練やリハビリテーションは自律も目的として考えなければならないことを説明しなければならないと思います。

そして、在宅では自律した生活についての説明と目標設定が必要です。当然、効果のないストレッチや筋力増強を継続することは意味がありません。以前も書きましたが「リラクゼーションを中心にリハビリを進める」という療法士の考えは私にとっては全く理解できないことです。リラクゼーションだけで自律した生活、そしてリハビリテーション=全人的復権ができたら、我々が何のために勉強しているかわかりませんよ。

話が少しそれました。

退院後にもリハビリ又はなんらかの機能訓練が必要です。ですが、量ばかり増やしても患者(対象者)にとってなんのメリットも無いと思います。重要なことは役割分担をすることだと考えます。急性期・回復期の病院で勤務している療法士と、訪問や通所系の事業所で勤務している療法士とでは、役割が異なります。指示を出す医師もその違いを意識する必要があります。そして、患者(対象者)自身も今行われているリハビリテーションや機能訓練が何のために行われているのかを自覚する必要があると考えます。

まとめ

少し私の気持ちが入りすぎてしまいました。
退院後も何らかのリハビリ又は機能訓練が必要、というデータからなにを考えるか。
私自身も改めて自立と自律について考え直していきたいと思います。

病院で働く療法士、在宅で働く療法士、それぞれがきちんと役割分担が出来ることで、患者(対象者)の自律を促すことが出来るし、本来のリハビリテーションが出来ると考えます。
そのためには、きちんと連携を取る必要があります。当たり前のことですが、それこそが地域包括ケアシステムに必要なことであると、私は考えます。

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