作業療法士の河原です。今回は平成30年(2018年)に3年に1度の介護保険の改定があります。今回は訪問看護に関して私の予想を書いていきます。

過去の改定

 20分以下の30分未満30分~60分60分~90分理学療法士等加算等変更点
平成15年(2003年)425単位830単位1198単位看護師の単位数に同じ緊急時訪問看護加算1370単位⇒540単位
平成18年(2006年)改定285単位(新設)425単位830単位1198単位30分未満425単位
30分以上60分未満830単位
*この年よりSTの訪問が認められる
ターミナルケア加算の算定要件緩和
平成21年(2009年)改定285単位425単位830単位1198単位30分未満425単位
30分以上60分未満830単位
長時間訪問看護加算(新設)300単位
複数名訪問看護加算(新設)30分未満254単位
30分以上402単位
ターミナルケア加算の算定要件緩和1200単位⇒2000単位
平成24年(2012年)改定316単位472単位830単位1138単位20分316単位
1週間に6単位を限度
ターミナルケア加算の算定要件緩和
平成27年(2015年)改定310単位463単位814単位1117単位20分302単位
1週間に6単位を限度
看護体制強化加算の新設300単位

まずは過去の改定を考察してみたいと思います。

平成15年(2003年)改定

介護保険が2000年に始まって以来初めての改定となった年です。訪問看護では緊急時訪問看護加算が大幅に削減されています。1370単位⇒540単位
それ以外では大きな変化はありません。この緊急時訪問看護加算の点数は平成29年現在も変わってはおらず、今後もこの点数が変わる可能性は少ないと思います。

平成18年(2006年)改定

この年に訪問看護では20分以下の点数が新設されています。これによって夜間帯などの短時間の訪問を行いやすくしています。また、ターミナルケア加算の算定が緩和されています。改定前は、死亡月前月よりの介入が必要であったものが、死亡月と同月の訪問看護介入でも算定可能となっています。
リハビリテーションにおいてはこの年より言語聴覚士(ST)による介入が認められています。

平成21年(2009年)改定

介護保険が開始になって9年目で3回目の改定ですが、訪問看護の基本的な点数はこの年も変化はありません。この年に、『長時間訪問看護加算』『複数名訪問看護加算』が新設されています。訪問看護また、ターミナルケア加算もこれまでの1200単位から2000単位に増加し、算定要件もさらに緩和されました。これまでターミナルケア加算は死亡日前日に訪問しなければならなかったのですが、この年の改定で『死亡日前14日以内に2回以上のターミナルケアを実施していること』となりターミナルケア加算がとりやすい状況となりました。

平成24年(2012年)改定

前改定まで変わらなかった訪問看護の基本的な点数が変わっています。短時間の訪問看護が高くなり、長時間の訪問看護の点数が低くなっています。
またリハビリでは大きな変更があり、20分1単位の訪問時間が設定され、提供時間も1週間に6単位までと制限されました。この改定でリハビリを中心にサービスを提供してきた訪問看護ステーションは大打撃を受けることになりました。

平成27年(2015年)改定

これまでほとんどマイナス改定の無かった訪問看護が全面的にマイナス改定となりました。また、この年に要介護者の医療ニーズへの対応を強化するために『看護体制強化加算』が新設されています。
厚生労働省の調べでは、訪問看護の収支差率は平成24年度で1.7%、平成27年度で3.0%となっています。
実質マイナス改定ではあったものの、各企業の努力の結果か収支差率は改善されている結果となりました。

平成30年の改定予想

基本的な単位数

平成27年の改定で軒並みマイナス改定となった訪問看護の点数ですが、収支差率は改善されています。厚生労働省としては、その収支差率が改善していることを材料の一つに更なるマイナス改定になる可能性も高いと考えます。30分以上60分未満の訪問では前回の改定では▲2.4%の改定でした。平成30年で同じだけのマイナス改定となる可能性は低いので、単位数の変化はないか▲1.0%ではないでしょうか。814単位⇒806~814単位程度の改定になると思われます。流れとしては、基本的な単位数はマイナスとなり、加算を満たすことで改定前の点数と同等か少し高い単位数が算定できるようになることが考えられます。

加算等

ターミナルケア加算についてはこれまで何度も緩和され、今は看取りを選択した利用者様においては算定しやすい状況となっています。そのため、ターミナルケア加算での算定要件での変更や単位数の変更はないと思います。
一方で、看護体制強化加算については算定要件が厳しい状態です。この看護体制強化加算の算定要件で厳しいのは、

算定日が属する月の前3月において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した利用者の占める割合が100分の50以上であること。

算定日が属する月の前3月において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合が100分の30以上であること。

の2点です。緊急時訪問看護加算や特別管理加算の利用者数の割合を求められています。そのため現在の看護体制強化加算を算定できている事業所は10%程度です。この利用者数の割合を求められるのが、リハビリも提供しているステーションとしては算定基準を満たすことが非常に厳しいものとなってしまいます。当然リハビリを提供していないステーションであっても、この算定要件は非常にハードルの高い水準と考えられます。厚生労働省としては、訪問看護ステーションの職員の中で療法士の数が大幅に増えていることを危惧しており、この算定基準そのものは緩和されないだろうと私は考えています。
しかし、介護保険は現在看護体制強化加算は1種類だけですが、算定要件を緩和した看護体制強化加算Ⅱ(100単位くらい)みたいなものは出るかもしれません。Ⅱを新設することと同時に基本的な単位数のマイナス改定と相殺させるようになるのではないでしょうか。
ちなみに医療保険でも似たような加算として機能強化型訪問看護療養費Ⅰと言うものがあります。

イ  常勤看護職員7人以上
ロ  24時間対応体制加算を届け出ていること
ハ  次のいずれかを満たすこと。
①  訪問看護ターミナルケア療養費の算定件数、ターミナルケア加算の算定件数又は在宅で死亡した利用者のうち当該訪問看護ステーションと共同で訪問看護を行った保険医療機関において在宅がん医療総合診療料を算定していた利用者数(以下「ターミナルケア件数」という。)を合計した数が年に 20以上
②  ターミナルケア件数を合計した数が年に 15以上、かつ、超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時4人以上
③  超・準超重症児の利用者数を合計した数が常時6人以上
二  特掲診療料の施設基準等の別表第七に該当する利用者が月に 10人以上
ホ  居宅介護支援事業所を同一敷地内に設置すること。

こちらは割合ではなく、人数や件数を求められているだけなのでリハビリを提供しているステーションでも算定要件を満たす可能性があります。上記算定には少し基準の緩い機能強化型訪問看護療養費Ⅱというものもあります。介護保険の看護体制強化加算と同じような加算ですが、算定要件は全く違う物になっています。

訪問看護Ⅰ5についての制限

今回の改定で注目されているのが、訪問看護からのリハビリが何らかの制限がかかる可能性があるのではという点です。7月5日厚生労働省審議会の資料が公表されています。参考:(平成30年同時改定 訪問看護からのリハビリに警鐘)

訪問看護ステーションからのリハビリについて、看護師との連携がとれていないことや、看護師によるアセスメントが十分でないことが問題視されているようです。次回改定の根底には高齢化による財政問題や、訪問看護師の確保が十分に行えていない中での、訪問看護ステーションにおける療法士の増加が問題としてあります。

次回改定では、訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問にも何らかの制限はかかってくるとは思います。具体的には、ターミナル加算等を取っていないステーションでの訪問看護Ⅰ5の減算や、看護師による訪問数を超えているステーションでの訪問看護Ⅰ5の減算などではないかと思います。正直このような減算は多くのステーションで覚悟をしているところではないでしょうか?

怖いのは、看護師の訪問数を超えての訪問看護Ⅰ5の訪問の禁止や、看護師の数以上の療法士は雇用できない等、訪問数や従業員数等そもそもの数を制限されることです。

予想まとめ

20分以下の訪問看護 310単位⇒307単位
30分未満の訪問看護 463単位⇒359単位
30分以上60分未満の訪問看護 814単位⇒806単位
60分以上90分未満の訪問看護 1117単位⇒1106単位
理学療法士等の訪問20分 302単位⇒299単位

加算等の点数変更なし
看護体制強化加算Ⅱの新設 100単位

訪問看護Ⅰ5の減算(ターミナル加算を取っていないステーションや、看護師の訪問数が少ないステーション)

こんな感じではないでしょうか。この記事は平成29年7月に予想として書いたものです。今後の改定とは直接的な関係はないものです。ご注意ください。また、他の分野の報酬改定も書いてみたいなと思います。